写真●システムライフサイクル管理/リリース&バージョン管理サービスの画面(運用部門向けのリリース制御結果)
写真●システムライフサイクル管理/リリース&バージョン管理サービスの画面(運用部門向けのリリース制御結果)
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 日立システムズは2013年1月17日、業務システム開発における成果物のバージョン管理や本番環境へのリリースなどのライフサイクル全般を管理する製品を発表、同日提供を開始した。ユーザー企業の情報システム部門向けのもので、リリース作業の自動化によって人的ミスを軽減できる。また、セキュリティ権限の分離によって、開発部門(SIベンダーなど)が用意したリリースセットを運用部門(情報システム部門)みずから本番環境に反映できる。

 製品名称は「システムライフサイクル管理/リリース&バージョン管理サービス」(写真)。物理的なサーバー機に管理ソフトをインストールしたアプライアンス機器としてユーザーに提供し、これを月額制で利用できるようにしている。元々は、SIベンダーである日立システムズが自社顧客(主に金融機関)に提供してきたソフトをベースとしている。今回、中小企業に向けて同ソフトをアプライアンス化し、月額制のサービス商品にした。同社のSI顧客だけでなく、広くユーザー企業全般に販売する。

 提供する機能は大きく四つある。開発環境を対象とした開発部門向けの機能が、(1)「成果物管理」と(2)「リリース資源準備」の二つ。一方、本番環境を対象とした運用部門向けの機能が、(3)「リリース作業」と(4)「稼働環境管理」の二つである。開発部門向けの機能と運用部門向けの機能はそれぞれアクセス権限管理が可能であり、これにより、開発部門が(2)の機能で開発環境上に用意したリリースセットを、運用部門みずから(3)の機能を使って本番環境にリリースできる。

リリース作業を自動化/簡素化

 (1)の成果物管理では、システム開発プロセス(ソースの修正/ビルド/テスト)を経た上で、プログラム成果物のマスターやバージョンセットを管理する。ただし、修正やテストにおけるワークフロー(仕様変更やバグを起点とした、ソースの抽出/修正/登録のワークフロー)を管理する機能は提供しない。

 (2)のリリース資源準備と(3)のリリース作業では、バージョンセットの比較(コンペア)や自動化などによって、リリースによるプログラムのデグレード(ミスによって一部機能が旧バージョンに置き換わってしまうこと)などを防ぐ。

 (4)の稼働環境管理では、本番稼働システムのファイル権限情報やファイル名、パスなどの整合性をチェックする。

 製品の価格(税込み)は、アプライアンスの初期導入サービス(初期費用)が、102万9000円。以後必須となるサポートサービス(月額制の利用料金)が、管理対象サーバー50台までの場合で月額8万4000円から(51台以上は個別見積もり)。

 管理対象となるシステム環境は、Windows Server 2003/2008、Linux(Red Hat Enterprise Linux、CentOS、SUSE Linux)、UNIX(AIX、HP-UX、Solaris)など。管理対象にエージェントソフトは不要であり、本番環境へのリリースには、遠隔コピーやバッチ起動コマンドなどを備えたOpenSSHを利用する。