写真●共同説明会に臨む大日本印刷の北島元治常務取締役、高波光一代表取締役副社長、日本ユニシスの黒川茂代表取締役社長、角泰志代表取締役専務執行役員(左から)
写真●共同説明会に臨む大日本印刷の北島元治常務取締役、高波光一代表取締役副社長、日本ユニシスの黒川茂代表取締役社長、角泰志代表取締役専務執行役員(左から)
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 大日本印刷と日本ユニシスは2013年1月16日、共同で経営戦略に関する説明会を開いた(写真)。大日本印刷は2012年8月に日本ユニシスに出資して筆頭株主になり、資本・業務提携を結んだ(関連記事)。同年10月から共同事業や連携策作りを本格化させてきたと言い、日本ユニシスの黒川茂代表取締役社長は「今後4年間かけて2社の連携を進め、2016年度に2社連携で500億円の売上高を目指す」と説明した。

 「連携売上高」500億円のうち、高い比率を占めるのが、2社が保有するデータセンターの共同運営である。組み合わせによってより高度なクラウドサービスを提供することで、300億円程度の売り上げを確保する方針だ。システムベンダーである日本ユニシスは、サービス提供用に7カ所のデータセンターを保有・運用している。一方、大日本印刷も明細印刷やICカード処理などの拠点として、4か所のデータセンターを保有する(うち1カ所は2013年11月に竣工予定)。

 2社は、これらのデータセンターのリソースを相互に供給し合う。それぞれの既存顧客にバックアップセンターを提供したり、運用・保守だけの顧客に印刷やカード発行などを含めた高度なサービスを提供したりといった形で、売り上げの上乗せを目指す。

ユニシスのプロマネで共同事業創造

 目標の500億円のうち、残りの200億円は2社の強みを組み合わせた新規事業・新規ソリューションで生み出す考えだ。既に2社の幹部や担当者同士の議論などを通じて、200件程度の事業案件が検討対象に挙がっているという。

 説明会では、この中から6つの実例を挙げて説明した。1つが電子出版事業で、既に全日本空輸(ANA)のラウンジサービスとして試験運用が始まっている(関連記事)。このほか、ビジネスプロセスアウトソーシング事業、空間メディア事業、電子図書館などで、共同プロジェクトが進んでいるとした。

 これらのプロジェクトは、いずれもシステム構築を含む長いプロセスを経て推進される。大日本印刷の北島元治常務取締役は、「当社の従来の仕事の進め方と違う点が多く、日本ユニシスのプロジェクトマネジメントのノウハウから学ぶことが多い」と説明した。4月をメドに日本ユニシスのプロジェクトマネジメント経験者を中心に「統合PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)」と呼ぶ組織体を立ち上げ、新規事業案件を支援する仕組みを整える方針だ。