写真●vSMP Foundation 5の適用したLinuxサーバーの状況
写真●vSMP Foundation 5の適用したLinuxサーバーの状況
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 スケーラブルシステムズ(SSTC)は2013年1月15日、複数のPCサーバーを束ねたクラスターを単一のSMP(対称型マルチプロセッシング)サーバーとして利用できるようにする基盤ソフトの新版「vSMP Foundation 5」(関連記事)を発表した。1月下旬に出荷する。新版では、米インテルのInfiniBand製品やXeon Phiなど、対象ハードウエアを拡大した。価格は、CPUソケット当たり6万円(税別)から。開発会社は、米スケールMP(ScaleMP)。

 汎用のPCサーバーで構成したクラスターシステムをSMPイメージ(NUMA/COMA)で利用できるようにする基盤ソフトである。最大で128台(ノード)のPCサーバーを、OSやアプリケーションから見て論理的に1台の巨大なサーバー機(メモリー空間は最大256Tバイト、最大3万2768コア)として運用できる。ノードの単位で、SMPイメージで運用する領域(メモリー空間を共有する領域)と、通常の分散処理で利用する領域を使い分けて運用できる。低スペックサーバーにメモリーを積んでメモリー拡張専用ノード(CPUを計算用資源として利用できないようにする使い方)として利用することもできる。

 PCサーバーのBIOS機能を拡張するソフトとして実装してあり、ネットワークブート(PXE)やUSBメモリーブート経由で利用する。PCサーバー間は、InfiniBandで接続する。クラスター内の1台がプライマリーノードとなり、キーボード操作やディスプレイ出力といったユーザーとの接点を担当する。ネットワークなどのI/Oポートは、SMPサーバーから見て透過的であり、それぞれのノードが備えるポートを合計した数のポートを利用できる。

Xeon Phiもノードとして利用可に、KVMを束ねたSMPも可能に

 今回の新版では主に、利用可能なハードウエアプラットフォームを拡大した。例えば、PCI Expressカード型のスーパーコンピューター「Xeon Phi」(関連記事)をノードとして利用できるようにした。Xeon Phiを搭載したPCサーバー機とXeon Phiをまとめて1ノードとして使うことも、Xeon Phi自身を単独で50コア超のノード群として使うことも、いずれの使い方もできる。

 また、PCサーバー用のInfiniBandアダプターとして、以前から利用できていた米メラノックス(Mellanox)製に加えて、新たに米Qロジック(QLogic)のInfiniBand事業を買収した米インテル(Intel)の製品「インテルTrue Scaleファブリック7300シリーズ」を利用できるようにした。

 ソフトウエア面では、物理ノードだけでなく、サーバー仮想化ソフトであるKVM上の仮想サーバーを束ねたPCクラスターをSMPイメージで運用できるようにした。さらに、仮想サーバー間の接続には、InfiniBandに加えてイーサネットを利用できるようにした。これにより、イーサネットで接続した異なる物理サーバー上に分散した仮想サーバー同士の間でSMPを実現できるようになった。