米Gartnerは現地時間2013年1月14日、世界パソコン市場に関する調査結果(速報値)を発表した。それによると、2012年第4四半期の世界パソコン出荷台数は9030万台で、前年同期比4.9%減少した。消費者が古いパソコンを買い替える際にタブレット端末を選ぶ傾向が顕著で、パソコンの市場環境は劇的に変化しているという。また米Microsoftが同年10月にリリースした「Windows 8」は、同四半期のパソコン出荷に大き影響を及ぼさなかったとしている。

 第4四半期のメーカー別出荷台数順位を見ると、米Hewlett-Packard(HP)が1464万台で16.2%のシェアを獲得して首位に返り咲いたが、出荷台数は前年同期から0.5%減少した。中国Lenovo Group(聯想集団)は前の四半期にHPを抜き初めて首位となったが、当期は15.5%のシェアで再び2位に後退した。ただし同社の出荷台数は1397万台と前年同期から8.2%増加しており、上位5社の中で最も高い伸びを示している。

 3位は米Dell(シェア10.2%)、4位は台湾Acer Group(同9.5%)、5位は台湾ASUSTeK Computer(同7.2%)となった。DellとAcerの出荷台数は前年同期と比べそれぞれ20.9%と11.0%落ち込んだが、ASUSは同6.4%増加した。

 Gartnerの主席アナリスト、北川美佳子氏は「かつて消費者はパソコンとタブレットの両方を持つと考えられていたが、我々はそうした考えを改めるようになってきた。今後多くの人はタブレットでコンテンツを消費し、クリエイティブな活動は共有パソコンで行うようになるのではないか」と述べている。

 2012年第4四半期の地域別出荷台数を見ると、米国は1750万台で前年同期から2.1%減少した。年末商戦における消費者の支出は、パソコン以外の商品に向けられた。一方企業向けパソコンは、これまでのところ堅調に推移しているという。EMEA(欧州、中東、アフリカ)の出荷台数は前年同期比9.6%減の2810万台、アジア太平洋地域は同1.8%減の2990万台だった。

 2012年の年間パソコン出荷台数は、3億5270万台で前年比3.5%減。メーカー別順位は第4四半期と同じで、各社のシェアはHPが16%、Lenovoが14.8%、Dellが10.7%、Acerが10.4%、ASUSが6.9%。上位5社の中で出荷台数が前年から増えたのはLenovoとASUSで、それぞれ14.2%、17.1%増加した。

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担当:小久保重信