写真1●ケンコーコムは即日、風邪薬や育毛剤など一般用医薬品のネット販売を再開した
写真1●ケンコーコムは即日、風邪薬や育毛剤など一般用医薬品のネット販売を再開した
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写真2●判決後の会見に臨むケンコーコムの後藤玄利・代表取締役社長
写真2●判決後の会見に臨むケンコーコムの後藤玄利・代表取締役社長
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写真3●ケンコーコムの訴訟代理人である阿部泰隆弁護士
写真3●ケンコーコムの訴訟代理人である阿部泰隆弁護士
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 医薬品・健康食品ネット販売のケンコーコムは2013年1月11日午後、最高裁での勝訴判決(速報記事)を受けて、2009年から停止していた一般用医薬品(大衆薬)のネット販売を即日再開した(写真1)。規制がないためにこれまでも販売していた第三類の一般用医薬品に加えて、比較的副作用のリスクが大きいとされる第一類・第二類の販売を再開した。

 判決後の記者会見で同社の後藤玄利・代表取締役社長(写真2)は、「本日、勝訴の判決をいただくことができた。勝訴した場合はすぐに販売再開できるように準備をしてきた。ネット販売に関する署名活動に参加していただいた約155万人の皆様に、改めて感謝申し上げたい」と笑顔を見せた。

 最高裁判決は、2012年4月の第二審判決の判断を維持。原告であるケンコーコムと、同業のウェルネット両社の主張を認め、ネット販売規制に違法性はないと主張する国の上告を棄却した。裁判官4人の全員一致意見だった。

 ケンコーコムの訴訟代理人である阿部泰隆弁護士(写真3)は「最高の判決だ」と述べたうえで、こう解説した。

 「対面販売かネット販売かという概念は薬事法には出てこない。我々は、(法律である)薬事法にネット販売を制限するとは書いていないのに、厚生労働省が(薬事法の範囲内で規定するべき)省令で販売を制限するのは違法であると主張してきた。最高裁は『厚生労働省が規制したいなら、法律に書くべきだ』と言ってくれた」

 最高裁の判決は、こうした省庁の“裁量行政”の違法性だけではなく、医薬品ネット販売の安全性の是非についても踏み込んだ判断をしている。判決文では厚生労働省内の議論や諮問機関における議論、パブリックコメントによる国民の声などを検討したうえで、対面かネットかの区別で一律に安全性を論じる根拠に乏しいことを指摘している。