写真1 ソニー グローバルセールス&マーケティング本部 UX・マーケティング戦略部門長の小林弘明氏(左から2人目)、VAIO & Mobile事業本部 企画2部 統括部長の石井眞氏(右から2人目)と、「Multi-Screen UX Competition 2013」を担当するグローバルセールス&マーケティング本部 UX・マーケティング戦略部門の加藤圭一氏(左端)、VAIO & Mobile事業本部 企画2部 UX企画2課の柿田新次郎氏(右端)
写真1 ソニー グローバルセールス&マーケティング本部 UX・マーケティング戦略部門長の小林弘明氏(左から2人目)、VAIO & Mobile事業本部 企画2部 統括部長の石井眞氏(右から2人目)と、「Multi-Screen UX Competition 2013」を担当するグローバルセールス&マーケティング本部 UX・マーケティング戦略部門の加藤圭一氏(左端)、VAIO & Mobile事業本部 企画2部 UX企画2課の柿田新次郎氏(右端)
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 2013年1月8~11日に米国ラスベガスで開催されている「2013 International CES」では、現在開催中のコンテスト「Multi-Screen UX Competition 2013」のコーナーが、協賛社であるソニーブース内に設けられている。同コーナーには、コンテストへの先行応募からの選抜作品として、「wePoker」「Toneconnect」「Seconds」「Beatrobo」「Thuuz」「Toon Goggles」の6作品が出展されている。各アプリ/サービスの詳細は別途紹介するが、ここでは、ソニーのUXの戦略に携わる小林、石井、加藤、柿田の4氏に、今回のコンテストの開催背景にとどまらず、同社のUX戦略を聞いた(写真1)。

今回のCESでは、UX(顧客体験)の開発コンテスト「Multi-Screen UX Competition 2013」の協賛企業として、サードパーティのアプリをソニーブース内で紹介しています(写真2)。この活動を始めることになった背景を教えてください。

写真2 2013 International CESにおける「Multi-Screen UX Competition 2013」のサードパーティ・コーナー
写真2 2013 International CESにおける「Multi-Screen UX Competition 2013」のサードパーティ・コーナー
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小林 2011年の夏に、UXを主軸に商品を企画する「UX・商品戦略本部」が発足しました。この本部で企画や設計部門が準備を進めてきましたが、2012年9月にベルリンで行われたIFAから今回のCES2013にかけて世の中に成果を出していく段階に入り、マーケティングもそれに合わせて部署を作ろうということになりました。このタイミングで、コンテストの開催を考えました。

石井 2012年の初頭、2012年のIFAを起点に、半年ごとのソニー横串のUXの進化を定義しました。社内でも、半年ごとに成果を出していくことをコミットしました。

 ソニー横串のUXの例として、昨年のIFAでは「One-touch」などをデビューさせて、今回のCESではさらに「One-touch」によるUXを増やし、「One-touch Mirroring」などを発表しました。

 また、今回のCESでは、ソニーのマルチスクリーンのシグネチャアプリ(ソニー純正アプリ)として、昨年のIFAで発表したWalkmanアプリ、Movieアプリ、Albumアプリ、Socialifeアプリに加え、新たにTV SideViewアプリといった、スマートフォン、タブレット、VAIO、テレビを組み合わせたアプリを用意しました。

そもそも、なぜUXに着目し、専門の部署を作られたのでしょうか。

石井 もともとは、私が担当しているタブレット端末の事業部でUXベースのプロセスを加速しようと思っていました。タブレット端末は特に、ほかの機器と接続して価値が倍増するものです。スペックベースではなく、顧客体験(UX)ベースでお客様にいい商品を届けられるよう、UXを起点とした組織やプロセスにする必要があると考えました。

 この構想を鈴木国正執行役らと色々と議論したところ、全カテゴリの商品企画・戦略のヘッドを集めてUX・商品戦略本部を立ち上げようということになりました。例えば、現在UX・商品戦略本部で特に力を入れている機器間連携をより効率的に図るには、各事業部間のコミュニケーションが大変です。機器の数の組み合わせだけやりとりが生じるので、新しいUX・商品戦略本部では、横串のUX戦略を決め、さらに実行に向けて製品ごとの事業部間をとりまとめています。

ソニーの目指すUXとはどのようなものになりますか。

石井 キーワードは特に決めてはいません。我々現場レベルでいつも話しているのは「1+1は3や4にもなり得る」というものになります。今までになかった顧客体験を創造するにはブリッジになるアプリやプロトコルが重要です。

具体的なサービスを挙げるとすれば、何があるでしょうか。

石井 具体例として、今回CESで発表したTV SideViewというアプリがあります。米国などでは、「セカンドスクリーン」のエコシステムが立ち上がりつつあります。セカンドスクリーンのエコシステムとは、クラウドとモバイルデバイス、テレビの組み合わせで新しい体験を作り出そうというものであり、一つの方向性として期待しています。

CESの併催イベントでも、「セカンドスクリーンサミット」が開催されてました。

石井 セカンドスクリーンは、この半年くらいで火が付きました。今年は、このテーマが来ています。

写真3 テレビ番組の盛り上がり度を一覧するサービス「Thuuz」
写真3 テレビ番組の盛り上がり度を一覧するサービス「Thuuz」
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 展示会場でも「Thuuz」と呼ばれるアプリは、タブレットやスマートフォンでテレビ番組の「盛り上がり度」を表示し、誘導するデモを行っています(写真3)。これも、ソーシャルメディアとの連携をうまく使ったアプリということになります。

柿田 Thuuzでは、「接戦かどうか」「キープレイヤーが活躍しているか」など外部の専門企業が提供するリアルタイムのデータを活用して、スポーツ番組へ誘導しています。

石井 ソニーには、グループ内のGracenote社によるビデオやテレビ関連情報に関する資産があるので、さらに活用を進めてソニーならではの、TV、モバイルデバイス、クラウドを組み合わせた新しい顧客体験創造を加速していきたいです。