京都大学は、早くから認証基盤の整備に取り組んで来た大学の一つだ。複数あった学内の認証システムを6年がかりで整理・統合し、主要な学内サービスを1枚のICカードで利用できるようにしている。2012年8月に、アカウントの整理やICカードの配備を終えたばかりだ。「利便性とセキュリティを両立させることを目指した」と、認証基盤の整備にあたった京都大学情報環境機構IT企画室の永井靖浩教授は話す。

 特徴は、入退室管理から少額決済、さらには重要な業務システムへのアクセス認証まで、ICカード1枚で実現している点だ。ソニーのICカード技術「FeliCa」方式のICカードで、職員証または学生証として写真付きで配布する。役員や常勤教職員、非常勤教職員は約1万人、学生は約2万3000人が常時携帯する。京都大学内では欠かせないインフラである。

 さまざまなサービスを、安全かつ便利に利用できるようにするため、ICカードには複数の認証機能を搭載させている。非接触ICチップによる認証、電子マネー機能、接触型ICチップを使った電子証明書認証機能がそれだ。

 京都大学のように、ICカードを導入している大学は多い。しかし、複数の技術を1枚のICカードに組み込み、それを教職員から学生まで全面的に展開している大学は、まだ少数派だ。

京都大学情報環境機構IT企画室の永井靖浩教授
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京都大学が発行するICカードのサンプル
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