富士ゼロックスは2012年12月27日、紙に印刷された帳票にボールペンで書き込んだ情報を自動的に電子化して取り込む製品「Denshi-Pen」(関連記事)の関連ソフトとして、大量に印刷した帳票を複数拠点に配布して入力できるようにする「Denshi-Pen Form Solution 1.0J集中印刷オプション」を発表、同日出荷した。工業製品の外観検査のチェックシートなどの用途に利用する。

 前提となるDenshi-Penとは、カメラを内蔵したボールペンである。制御用のドット情報を印刷した専用の帳票に書き込むことで、「どの帳票の、どの項目に、どんな情報を記入したのか」が分かる仕組み。カスタマイズ帳票の作成/印刷/読み込みソフト「Denshi-Pen Form Solution 1.0J」を使えば、業務で使う紙帳票へのデータ入力業務を電子化できる。データ連携機能を作り込むためのSDKも用意している。

 今回追加した集中印刷オプションを適用すると、帳票を印刷したパソコンと、ボールペン(Denshi-Pen)で情報を入力するパソコンを分離できる。つまり、本社で大量の帳票を一括して印刷し、これを複数の拠点に配布し、それぞれの拠点でデータを個別に入力できるようになる。

帳票IDと帳票フォーマットの対応情報を配布して分散入力を可能に

 従来、集中印刷オプションを適用しない場合は、事実上、1台のパソコンで帳票印刷とデータ入力を兼ねる必要があった。帳票を印刷したパソコンの中には、印刷済みの帳票データがすべて管理されており、このデータがないと、ボールペンからデータを入力しても、それが何のデータであるのか(どの帳票の、どの項目に対するデータなのか)を判別できなかった。

 今回、これを解決した。具体的には、データを入力するパソコンに対して、あらかじめ帳票フォームを配布/登録しておくという手法を採用した。帳票フォームには実データ(個々の帳票ごとに異なる印刷内容)が含まれていないが、その帳票フォームに割り当てた帳票識別IDの範囲情報が含まれている。帳票に含まれる帳票ID情報から、どの帳票フォームなのかを識別できるので、データの入力が可能になる。

データ入力特化で価格を下げたカスタマイズ帳票読み取りソフトも用意

 集中印刷オプションの提供に合わせて、データ入力側にも必要になる帳票作成/読み込みソフト(Denshi-Pen Form Solution 1.0J)の簡易版で、カスタマイズ帳票の読み取り機能に特化した「Denshi-Pen Form Solution 1.0J Lite」を用意した。複数拠点でデータを読み込む際に、より安価に利用できる。

 価格(税別)は、以下の通り。基本となるカスタマイス帳票の作成/読み取りソフトのDenshi-Pen Form Solution 1.0Jは、帳票1万枚までの印刷ライセンスが付いて4万9800円。追加印刷ライセンスは、1万枚で4万円、5万枚で16万円、10万枚で25万円、50万枚で100万円。

 Denshi-Pen Form Solution 1.0J集中印刷オプションは、9万8000円。集中印刷オプションが前提となる読み取り専用ソフトのDenshi-Pen Form Solution 1.0J Liteは、1万4800円。ボールペンのDenshi-Penは、1本当たり9980円。業務データ連携用のDenshi-Pen Form Solution SDK 1.0Jは、10万円。