写真●日本HP 常務執行役員 HPソフトウェア事業統括 中川いち朗氏
写真●日本HP 常務執行役員 HPソフトウェア事業統括 中川いち朗氏
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 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2012年12月19日、米ヒューレット・パッカード(HP)が同年春に買収した米Verticaの事業をワールドワイドで統合したと発表した。HPのソフトウエア事業は、運用、開発、セキュリティ、情報管理の4分野に注力しているが、Verticaは情報管理、つまりビッグデータ処理に対応するソフトウエアとなる。

 日本HP 常務執行役員 HPソフトウェア事業統括の中川いち朗氏(写真)は、「世の中には構造化データと非構造化データがばらばらに存在しているが、非構造化データは全体の90%を占めており、企業はこの90%をうまく活用できていない」と説明。続けて「Verticaと、2011年に買収したAutonomyの技術により、構造化データと非構造化データを統合し、分析するソリューションが提供できる。これがHPのビッグデータ対応ソリューションの強みだ」と述べた。

 Vertica事業の統合に伴い、日本HPではVertica事業本部を設立。今後はこれまで主にアプライアンスとして販売していた「HP Vertica Analytics Platform」をソフトウエア単体で販売する。

 中川氏はVerticaを単体で販売する背景について、アプライアンスはセットアップが簡単で稼動までの時間が短いという長所があるとした上で、一方で「『既存のインフラ資産を活用したい』『ベンダーにロックされない柔軟な環境で利用したい』といったニーズを満たすことができない」と説明。ソフトウエア単体で提供する利点として、「小規模構成からでもスタートでき、利用形態に依存せず最適な環境を選択できる」(同氏)と述べ、ユーザーニーズに柔軟に対応できるとした。

 Verticaの特徴について、日本HP HPソフトウェア事業統括 Vertica事業本部 プリセールスマネージャーの相澤恵奏氏は次の3点を挙げる。(1)列指向データベースのため、ディスクI/Oとメモリー容量を削減し、分析速度の高速化が可能である点、(2)データの属性に応じた最適な圧縮アルゴリズムにより、従来のDWHシステムに比べて50~90%のデータ圧縮を実現できる点、(3)超並列アーキテクチャーに対応しており、Linuxをインストールしたx86サーバーを並列接続するだけでリニアに性能が拡張できる点---である。

 また相澤氏は、既に国内ではKDDIをはじめとする数社がVerticaを採用していると述べ、「KDDIでは従来のシステムで3分以上かかっていた15億件のログテータを対象にした検索が、Verticaを採用したことで10秒ほどにまで短縮できた」と導入の効果を説明した。

R言語による高度な分析も可能に

 今回日本HPでは、Verticaの最新版となる「HP Vertica Analytics Platform 6.1」を同時に発表した。最新版では、VerticaからHDFS上に配置されたファイルを直接読み込めるようになったほか、R言語による高度な分析が可能になった。また、Amazon EC2クラウド上へのインストールが簡素化されたという。

 日本HP HPソフトウェア事業統括 Vertica事業本部 セールスマネージャーの後藤丈治氏は、Verticaの顧客ターゲットについて説明。「既存のデータウエアハウスシステムで課題を持つ顧客には、HPのこれまでのビッグデータに対応するシステム移行の実績を生かしてVerticaをアピールしたい。また、新規顧客のビッグデータビジネスの立ち上げも支援したい」と述べる。

 Verticaの販売については、直接販売とパートナー販売のほか、BIベンダーやETLベンダーとの連携も図る。今回Verticaの導入拡大に向け、日本HPでは「HP BladeSystem c3000」にVerticaの最新版とマイクロストラテジーのBIツールをバンドルした「Vertica Start Package」を提供する。Vertica Start Packageの価格は、セットアップ作業や1年間の保守を含め1048万9500円となる。