中外製薬は2012年12月14日、IFRS(国際会計基準)を任意適用すると発表した。2013年12月期決算から連結財務諸表と連結計算書類に適用、IFRSに基づいた開示は2013年第1四半期に始める。すでに日本電波工業、住友商事、HOYA、日本板硝子、JT、ディー・エヌ・エー、SBIホールディングス、アンリツの8社が、IFRS任意適用を正式に実施・表明している(関連記事:IFRS任意適用企業が増加、SBIホールディングスとアンリツが2013年3月期から

 IFRS適用の目的として、中外製薬は国内外投資家の利便性向上と裾野の拡大、経営管理指標の一本化を挙げる。同社はスイスのロシュグループの傘下にあり、「国際的な認知度も飛躍的に上昇し、国内外において幅広い株主の支援を仰いでいる」としている。

 日本の会計基準(日本基準)からIFRSに移行するにあたり、製品・商品売上の認識を「出荷基準」から「着荷基準」へ、有形固定資産の減価償却を「定率法」から「定額法」へ、本生産前の試作のためのバリデーション費用の計上を「費用」から「資産」とするなどの変更を実施した。

 その結果、2011年連結決算では、売上収益は日本基準が3735億円、IFRSが3721億円とIFRSが14億円下回るが、当期利益は日本基準が352億円、IFRSが426億円とIFRSが74億円上回る。税法改正の影響や非支配持分の扱いが異なるからだとしている。2012年期初純資産は、日本基準が4591億円なのに対し、IFRSは4990億円と399億円上回る。IFRSの場合、有形固定資産が日本基準よりも604億円上回るのが寄与している。