電子書籍の価格カルテルを巡る問題で米Appleと欧米の大手出版4社を調査していた欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は現地時間2012年12月13日、これら5社が提示した和解案を認める方針を明らかにした。これにより5社に対するECの調査は終了する。

 ECは、Appleと出版各社が、書籍の販売価格を書店が自由に設定できる従来の「卸売りモデル」から価格の決定権を出版社が握る「販売代理店モデル」に契約形態を移行することで、欧州経済領域における電子書籍販売の競争を妨害し、価格を不当につり上げていた疑いがあるとして、2011年12月に欧州競争法違反で正式調査を開始した(関連記事)。

 調査対象となった出版社は米CBS傘下のSimon & Schuster、米News傘下のHarper Collins、フランスLagardere傘下のHachette Livre、英Pearson傘下のPenguin、米Macmillanの親会社であるドイツVerlagsgruppe Georg von Holtzbrinckの計5社だったが、Penguinを除く4社とAppleがより早い解決を目指して和解案を提出。ECは和解案について第三者の意見募集を行うなど検討を進めていた(関連記事)。

 和解案には、Appleと出版社が現行の販売代理店契約を終了し、Appleより有利な価格での販売を禁じるMFN(Most Favoured Nation)条件を5年間凍結すること、2年間にわたり書店が電子書籍の価格を自由に設定できるようにすることなどが盛り込まれている。

 ECのJoaquin Almunia競争政策担当副委員長は、「和解案は、正常な競争環境を市場に取り戻し、電子書籍を購入する消費者に利益をもたらすだろう」との見解を述べた。

 Penguinは今回の和解案に参加していないため、調査終了の対象とはならない。しかしECは現在、早期解決に向けてPenguinと建設的な交渉に入っているという。

[ECの発表資料]
[Almunia競争政策担当副委員長の声明]