部下を指導する際には、叱ったらいいのか、褒めたほうがいいのか――。このような悩みに対し、部下の育成指導で定評ある経営者らがポイントを明かす「叱って育てる、褒めて伸ばす 管理職のための指導スタイルセミナー」(日経情報ストラテジー主催)が2012年12月7日、都内で開かれた。

 講演者は、『そうか、君は課長になったのか。』(WAVE出版)などの著書で知られる東レ経営研究所の佐々木常夫特別顧問、キヤノン電子の酒巻久社長、日本ラグビーフットボール協会の中竹竜二コーチングディレクター、話し方研究所の福田健会長の4氏。

 4氏がそれぞれの経験を基に語る講演の内容はバラエティーに富んでいたが、一方で共通するポイントも見られた。リーダー自身の志が大切という点と、育てたい相手を深く理解して対応しているかどうかという点である。

写真1●東レ経営研究所の佐々木常夫特別顧問
写真1●東レ経営研究所の佐々木常夫特別顧問
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 例えば佐々木氏(写真1)は、リーダーを「一緒に仕事をすると勇気と希望をもらえる人物」と定義。こうした人物は、自分なりの考え方を確立している、褒めるか叱るかといった話の前に、育てたい相手とプライベートを含む対話を重ねて信頼関係を築いているなどの特徴があるとした。

 そのうえで「リーダーは明るい方がいい、褒めたほうがいいとよく言われるが、無理して褒めていても相手には分かってしまい、期待する効果が出ない。だから地で勝負するしかない。むしろ大切なのは、部下を本気で育てたいと思う志だ」と語った。