Mac新機種などを発表するTim Cook最高経営責任者(2012年10月)
Mac新機種などを発表するTim Cook最高経営責任者(2012年10月)
[画像のクリックで拡大表示]

 米AppleのTim Cook最高経営責任者(CEO)は同社のパソコン「Mac(Macintosh)」の一部機種について、2013年に生産拠点を中国から米国へ移す計画を明らかにした。同氏が米Bloomberg Businessweek誌米NBCテレビのインタビューに答え、その内容が現地時間2012年12月6日に掲載、放送された。

 Appleは2013年に米国で1億ドル以上を投じる予定。Cook CEOはインタビューで「我々だけでやるのではなく、人々と協力してやっていく。我々はそこに投資する」と述べており、このことから現在Apple製品の製造を手がける中国・富士康科技(Foxconn Technology)などと共同で米国工場を建設するのではないかと見られている。

 またCook CEOは、Bloomberg Businessweekのインタビューで「最終組み立てだけではなく、それ以上のものになる」とも答えており、米Associated Press(AP)はきょう体の加工やプリント基板の製造も米国に移管する可能性があると伝えている。

 米国で生産するMacの機種についてCook CEOは具体的に言及しなかったが、比較的組み立てが容易なデスクトップ機「Mac Pro」「Mac mini」が考えられるという観測が広がっている。Associated Pressによると、これらはノート機「MacBook」や一体型デスクトップ機「iMac」と異なりディスプレイを備えず、アジアのディスプレイ部品供給網との切り離しが容易という。

 Appleは長らくパソコンを米国で生産していたが、1990年代後半からアジアのEMS(電子製品製造受託サービス)に委託するようになった。最近では中国の工場における工員の労働環境や管理体制が問題視され、人権擁護団体などに非難されていた。また米New York Timesは、多くの米企業がここ最近、生産拠点を米国内に移す傾向にあると伝えている。この背景には、中国など新興国における賃金の上昇、米国におけるエネルギーコストの低下、海外での品質管理の問題、知的所有権侵害への懸念などがあるという。