NECは2012年12月5日、同社の研究開発(R&D)についての、報道機関向けの説明会を開催した。説明会ではNEC中央研究所所長の江村克己氏が、同社の研究開発方針などを解説。同時に、夜間や悪天候のときに撮影した映像をリアルタイムで鮮明にする技術や、大量の商品を識別する、小売業向けのセンシング技術を発表した。
NEC中央研究所では、国内の700人、海外の250人が研究開発に従事している。NEC全体の研究開発費(2011年度は1619億6800万円)のおよそ1割が中央研究所の予算だという。中央研究所の中には、クラウド研究系の3つの研究所とスマートエネルギー研究系の2つの研究所がある。
中央研究所では、研究領域として「ビッグデータ・アナリティクス」「SDN(Software-Defined Networking)」「実世界データとそのプロセッシング」「セキュリティ」「スマートエネルギー」「Smart Business」の6分野に特に力を入れている。そしてそれぞれの分野で、現在の事業を発展させるための開発と、新事業創出のための開発を進めている。
この日に発表された新技術は2つ。一つは夜間や悪天候のときに撮影した映像をリアルタイムで鮮明にする技術。例えば、霧やもやがかかって真っ白になってしまうような映像でも、被写体がはっきり写る。また複数コマの画像情報を組み合わせて、映像を高解像度化することも可能だ。監視カメラやテレビ放送などで応用が可能だという。
もう一つは、大量の商品を識別する、小売業向けのセンシング(センサー判別)技術。棚に並んだ商品を手前からカメラで撮影すると、商品ごとの個数を自動的に集計する。微弱な電波を出す特殊なシートを敷くと、棚の奥など見えにくい場所にある商品の個数も検知できる。この2つのセンサーを組み合わせることで、商品の売れ行きだけでなく、「いったん手にとってから棚に戻した回数」など、消費者の行動まで記録することが可能だ。