英アームは2012年12月5日、10月30日に発表した新プロセッサー、Cortex-A50シリーズに関する説明会を東京都内で開催した。アームが提供するコアを使ったプロセッサーの採用例が多いスマートフォン/タブレット市場の状況とA50の位置付けや、サーバーへの展開について語った。

 Cortex-A50シリーズは同社の「ARMv8」アーキテクチャーをベースにした製品。64ビット処理に対応しており、上位のCortex-A57と下位のCortex-A53がある。A57はラインアップ中最高性能のプロセッサー。32ビットモードでは、2012年の高性能スマートフォンの3倍の性能が得られるという。電力効率も高く、従来の10倍の速度で暗号化を処理できる新命令などを実装している。

 A53は、電力効率の高さが売りの製品。性能は現在ラインアップされているCortex-A9と同等で、ダイサイズ(半導体本体の大きさ)を、A9から40%小さくした点が特徴だ。アームは、A53とA57をタブレット/スマートフォンからサーバーまでカバーする製品と位置付けている。アームからライセンスを受けたプロセッサーメーカー各社は、A53やA57を単体で、あるいは複数を組み合わせて、チップを製造できる。

 説明会の冒頭で、英アームプロセッサ部門組み込みプロセッサ担当のキース・クラークバイスプレジデントは、スマートフォンやタブレットといった携帯機器が過去5年間で急激に伸びたことに言及。米国では成人の23%が携帯機器でニュースを読んでいることや、ロンドンで開催されたオリンピック期間中は41%の視聴者が携帯機器で番組を見たことなど、普及による生活スタイルの変化を紹介した。生活に浸透したことで、自然言語による入力など新しい操作やより高いセキュリティ機能の実装、業務における生産性向上が求められているとし、新しいデバイスやサーバーが必要だとした。

英アームプロセッサ部門組み込みプロセッサ担当のキース・クラークバイスプレジデント

高性能機器向けのプロセッサーであるCortex-A57の主な特徴。32ビットモードでの性能は、2012年の高性能スマートフォンの3倍、電力効率はタブレットやノートパソコンの5倍が売り文句。新命令の搭載で暗号化処理も高速にした
[画像のクリックで拡大表示]

電力効率の高さが売りのCortex-A53。現在のCortex-A9と同じ性能ながら、ダイサイズは40%小さい。製造プロセスは32nmと20nm
[画像のクリックで拡大表示]