図●2013年のIT予算の増減傾向(出典:ITR「IT投資動向調査2013」)
図●2013年のIT予算の増減傾向(出典:ITR「IT投資動向調査2013」)
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 IT投資が「20%以上の増加」となる企業の割合は、2012年度の7.2%から2013年度は6.0%へ減少、同じく「20%未満の増加」となる企業は2012年度の18.3%から2013年度は16.0%に減少する---。アイ・ティー・アール(以下、ITR)は2012年12月5日、「国内IT投資動向調査2013」の一部を発表した()。特に、「売上高1000億円以上の大企業で、IT投資意欲が急速に冷え込む傾向が見られる」(シニア・アナリストの舘野真人氏)という。

 同調査は国内企業のIT予算と投資戦略の動きを見るもので今回で12回目となる。実施時期は2012年10月。回答企業数は672社で、情報システムや経営企画部門の役職者が回答している。

 調査結果によると、売上高1000億円以上の大企業では、2013年度のIT予算は2012年度比でマイナス成長となる。IT投資の絶対額が大きい大企業のIT投資減少は、「国内のIT市場に大きなインパクトを与える」(舘野氏)と見られている。

「大企業に代わり、準大手・中堅クラスがIT投資の主役に」

 その一方で、売上高500億円から1000億円の企業では、IT投資が増える見通しだ。「これまでIT投資に消極的だったこれら準大手・中堅クラスの企業が、大企業に代わってIT投資の主役になろうとしている」(舘野氏)。

 2013年度に向けて最重要視するIT課題では、「IT基盤の統合・再構築」が3年連続で1位となった。「クラウド」「ビッグデータ」「ソーシャル・テクノロジ」などの比較的新しいキーワードは、中位から下位にとどまっている。

 今回の調査ではこのほか、グローバル化を推進する企業で課題となるITガバナンスの実態も質問した。それによると、すでに海外に自社および自社グループの拠点を持つ企業は36.9%、拠点の設置を準備または検討中の企業も10%に上った。このうち、海外拠点を設置済みの企業では、業務やシステムのグローバルでの標準化が大きな課題となっていることが浮き彫りになったという。

発表資料