写真●「ビッグデータ経営サミット」で講演する東京大学工学系研究科の元橋一之教授(写真撮影:古立康三)
写真●「ビッグデータ経営サミット」で講演する東京大学工学系研究科の元橋一之教授(写真撮影:古立康三)
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 2012年11月29日、企業経営におけるビッグデータ活用に関するセミナー「ビッグデータ経営サミット」(主催:日経BP 10万人のIT経営バイブルプロジェクト)が東京都内で開催された。東京大学工学系研究科(技術経営戦略学専攻)の元橋一之教授(写真)が基調講演「企業経営におけるビッグデータ革命の本質~ビッグデータの重要性、可能性を知る~」に登壇、ITイノベーションを専門とする立場から、データ利活用を経営戦略に生かすには経営者の意識変革が必要であることを力説した(関連記事1)。

 元橋教授はビッグデータの概要を解説。続けて、先進的な活用事例として米グーグルや米アマゾンといったIT企業が大量の非定型データを素早く分析・処理して、新たな事業企画や販促に結び付けている点先進事例を紹介した。

 さらに、これら一部の先進企業だけではなく、ハードウエアの能力向上や分散処理ソフトウエア技術の発達などにより、一般的な企業にとっても新ビジネスの可能性が広がっていることを解説した。

 国内における具体的な活用事例として、東日本旅客鉄道の飲料販売子会社であるJR東日本ウォータービジネス(関連記事2関連記事3)が飲料自販機から得られるマーケティングデータを品ぞろえに活用しているケースなどを挙げた。一方でリクルートは、不動産情報サイトなどで顧客の行動分析に基づいて最適な広告を表示しているという(同じ会場で行われたリクルートの講演記事)。

 元橋教授はこうした事例をひも解いた上で、豊かな社会の実現というより大きな視座からビッグデータ活用の可能性に言及。ここでは「価値の創造」と「信頼の基盤」の両方が必要だとした。