ネットワンシステムズのグループ会社で、パートナー事業を手がけるネットワンパートナーズは2012年11月20日、オフィスやデータセンターを対象にした電力消費量の可視化ソリューションの販売を開始すると発表した。エネルギーを切り口にビジネス展開できるパートナー企業との協業を図り、省エネ型ICTインフラへの刷新やオフィスでの働き方の見直しといった提案につなげていく。

 販売開始したのは、米ジューレックスが開発する「JouleX Energy Manager」。ICT関連機器の消費電力を測定し、電力消費量やCO2削減量などとして可視化したり、事前に設定したポリシーに従ってデバイスの電源を入れたり切ったりする。消費電力測定のためのエージェントソフトが不要なため、ネットワークに接続されているICT関連機器なら消費電力を測定できるという。

 スマートフォンのGPS機能との連携が可能で、例えば「自席から100m以上離れれば、PCの電源を切り、100m以内に近づけば電源を入れる」といった運用が可能になる。ビル管理システムとの連携機能を用意する計画で、ICT関連機器に加え、照明や空調機器の消費電力も測定できるようにする。

 JouleX Energy Managerを取り扱うに当たり、ネットワンパートナーズは自社環境に導入し、効果を測定した。平日は深夜早朝の1時~7時、休日は全時間帯で、約30人のPCを対象に未使用時の電源を制御したところ、「約50%の電力消費量削減効果が見込めた」(技術本部プロダクト技術部の杉本康則部長)という。同社の場合、外部からのリモートアクセスを認めていたため、デスクトップPCの電源が常時投入されていたからだ。

 こうした結果を受けて、例えばデスクトップ環境の仮想化や、仮想化ソフトと連動させることでサーバー環境の稼働率をエネルギーの視点で最適化するための仕組みなどを提案していく。前者ではリモートアクセスのためにPCを常時稼働させる必要がなくなる。後者では、仮想環境の利用者数が少ない際などに、消費電力量を指標にサーバーの稼働状況を見直し、電力消費効率の最大化を図る。

 ただ、ネットワンパートナーズは、JouleX Energy Managerの導入効果が省エネにとどまるとは考えていない。消費電力の見える化により、ICT関連機器の利用状況の見直しや、例えば在宅勤務など働き方の再考にもつながるとみる。そのため、ICT関連機器の販売面でも、より短期間に最適な機器に切り替えられるように「新たな料金体系の設定を計画している」(杉本部長)と明かす。

 JouleX Energy Managerの価格は、サーバーやデバイスごとに設定されているが、従業員500人規模のオフィス環境を想定した場合が285万円(初年度保守費用込み)、サーバーラックを100本程度持つデータセンターの場合は2880万円(同)になる。