写真1●LTEの強みを説明するNTTドコモの岩崎文夫副社長
写真1●LTEの強みを説明するNTTドコモの岩崎文夫副社長
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写真2●新潟市における計測では受信平均78Mビット/秒以上を実現
写真2●新潟市における計測では受信平均78Mビット/秒以上を実現
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写真3●東京23区と政令指定都市における基地局数は他社の約1.8倍。KDDIは現状、端末の種類で使用周波数帯が分かれているため、800MHz帯(Andorid)と2GHz帯(iPhone)で別に集計したという
写真3●東京23区と政令指定都市における基地局数は他社の約1.8倍。KDDIは現状、端末の種類で使用周波数帯が分かれているため、800MHz帯(Andorid)と2GHz帯(iPhone)で別に集計したという
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 NTTドコモは2012年11月16日、LTEの取り組みに関する説明会を開き、自社の優位性をアピールした(写真1)。同日から全国10都市で受信最大100Mビット/秒のサービスを始めたほか、来春には受信最大112.5Mビット/秒に高速化する計画。LTE対応の超小型基地局(フェムトセル)も開発し、12月から住居や店舗、オフィスなどに設置してエリア拡充と品質強化に努めていく考えだ。

 同社は2010年12月に他社に先駆けていち早くLTEサービスを始めたものの、「Xi(クロッシィ)」のブランドで展開したためか、顧客への訴求度はイマイチ。「顧客から、いつLTEを始めるの?と聞かれることがある」(岩崎文夫副社長)ほど。KDDI(au)とソフトバンクモバイルがiPhone 5の発売と同時にLTEサービスを華々しく打ち出したのとは対照的だ。とはいえ、LTEの契約数は10月末時点で約672万件まで伸びており、それゆえに最近では都心部を中心に遅いとの声も増えている。

 同社がLTEの展開で強みとするのは、(1)100Mビット/秒サービスの提供開始、(2)2GHz帯周波数における割り当て幅の拡大、(3)エリアの充実度――の3つ。

 (1)は、同日から1.5GHz帯の15MHz幅×2を用いて新潟市、金沢市、松山市、松前町、高松市、綾川町、高知市、徳島市、藍住町、那覇市でサービスを始めた(写真2)。対応機種は現状、同日発売の「GALAXY Note II SC-02E」と「Xperia AX SO-01E」だけだが、冬モデルの全11機種が対応する。来春モデルでは「カテゴリー4」の対応端末で最大112.5Mビット/秒の高速通信も可能になる。100Mビット/秒サービス対応エリアは来春に札幌や仙台、広島など全国50都市に広げ、周波数の使用制限がある東名阪は2014年春となる見込み(ただ、東名阪でも使用制限のない5MHz幅×2はすぐに活用していく)。

 (2)は、2GHz帯でLTEに割り当てる周波数幅を現在の5MHz幅×2から10MHz幅×2に拡張する。これまでは一部の屋内を除いて37.5Mビット/秒だったが、75Mビット/秒で高速通信できる地域が広がる。まず、2012年度末までに全国4000局に広げる計画だ。

 (3)は、様々な基地局を活用して屋外と屋内の両方で拡充を図っている。例えば駅ではホームだけでなく、改札口や駅周辺店舗でも通信できるようにしているほか、全国主要の集客施設2200カ所(10月末時点)にIMCS(屋内基地局)を設置済み。さらに今年度中に全国53空港(現在は42空港)、新幹線全97駅(現在は57駅)でも使えるようにする。東京23区と政令指定都市における基地局数は他社の約1.8倍と強調した(写真3)。

 同社はLTEの人口カバー率を2012年度末までに約75%、2015年度末までにほぼ100%とする計画。KDDIやソフトバンクモバイルは「実人口カバー率」という指標で今年度末まで96%(KDDI)や91%(ソフトバンクモバイル)と謳っているが、「実人口カバー率の方が大きな数字が出やすい。当社は総務省に提出する導入計画と同じ人口カバー率で提示しているが、実人口カバー率にすると当社の方が高い。ほとんど100%に近いはず」(岩崎副社長)と反論した。

 このほか、説明会では、高速ハンドオーバー機能や基地局と交換機の多重接続、スループット向上の取り組みなどを紹介した。受信最大3Gビット/秒を実現するLTE-Advancedの導入は2015年を目指しているという。

 岩崎副社長は説明会の冒頭で、11月14日のspモードの通信障害(関連記事)について「深くお詫び申し上げる。今後も再発防止に全力で取り組んでいく」と陳謝した。原因は、監視制御系のネットワークで装置を増設した際の設定ミス。同ミスが原因でパケットがループして輻輳が発生し、サービス系にも波及してしまった。「様々なチェックを実施しており、設定ミスに途中で気付いたが、うまく対処できなかった」とした。今後は人為ミスの再発防止に加え、監視制御系の輻輳がサービス系に影響しないようにする取り組みも検討しているという。