写真●消費者庁が指摘したイー・アクセスの広告
写真●消費者庁が指摘したイー・アクセスの広告
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 消費者庁は2012年11月15日、イー・アクセスに対して景品表示法に基づく措置命令を行った。命令の対象となったのは、イー・アクセスが2012年3月から4月にかけて新聞、雑誌や鉄道車両内に掲載したLTEサービス「EMOBILE LTE」の広告である。

 イー・アクセスが掲載した広告では、「通信速度最大75Mbps」「東名阪主要都市人口カバー率99%(2012年6月予定)」という要素が隣接して掲載されていたが、実際に東名阪地域で75Mbpsの最大通信速度に対応する基地局は、6月末時点で東京都に7局が開設されているだけであり、これが「一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである」(消費者庁)としている(写真)。

 またLTE対応端末として販売している「Pocket WiFi LTE(GL01P)」「Pocket WiFi LTE(GL02P)」は、端末の性能により、無線LAN経由で利用しても下り最大30Mbpsの通信速度となり、「30Mbpsを超える通信速度を享受することは不可能」(消費者庁)だったとしている。

 これらのことから消費者庁は、イー・アクセスに対して(1)広告表示が景品表示法に違反するものであることを一般消費者に周知徹底すること(2)再発防止策を講じて、役員および従業員に周知徹底すること(3)今後、同様の表示を行わないこと--の3点を命令した。

 この件について、総務省も「イー・アクセスの広告の中に、利用者に誤認を与えるおそれがあると考えられるものがあった」として、イー・アクセスに行政指導を行った。イー・アクセスには再発防止策を12月17日までに報告するよう求めている。また同時に「利用者保護の観点から、業界全体に対して適正な広告表示を求める」とし、電気通信事業者協会と電気通信サービス向上推進協議会の二つの業界団体に、各事業者への周知と広告表示適正化への取り組みを要請した。

 イー・アクセスは、同日に自社ホームページ上にお詫びとお知らせを掲載した。GL01PとGL02Pの通信速度については「チップセットの性能から30Mbps程度であることは認識していた。2013年2月をメドにUSBケーブル経由で利用できる機能を提供し、30Mbps以上の速度で利用できるようにする」(イー・アクセス広報)としている。

[消費者庁の発表資料へ(PDF)]
[総務省の発表資料へ]