米ヒューレット・パッカード プリンティング&パーソナルシステムズ PC GBUインダストリアル・デザインチームのマネージャーを務めるエリック・チェン氏
米ヒューレット・パッカード プリンティング&パーソナルシステムズ PC GBUインダストリアル・デザインチームのマネージャーを務めるエリック・チェン氏
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 「法人向けパソコン製品でも優れたデザインが求められるようになっているが、実用性とのバランスをうまく取る必要がある」。米ヒューレット・パッカード(HP)において、法人向けパソコン製品のデザインの責任者を務めるエリック・チェン氏は2012年11月15日、同社法人向けノートパソコンやタブレットなどのデザインついて解説した。

 従来、法人向けパソコン製品では実用性が優先され、デザインはあまり重視されてこなかった。ところが最近では、法人向け製品であってもデザインが重視されるようになってきているという。デザインの優れた個人向け製品に慣れたユーザーは、ビジネス用途においても、デザインの優れた製品を望むようになっているためだとする。

 とはいえ、機能性や堅牢性といった実用性とデザインは両立させることが難しい。例えば、デザインのために本体を薄くしたい場合でも、薄くすればするほど堅牢性は低くなる。装備できるポートの種類や数も制限される。これらは「うまくバランスを取る必要がある」(チェン氏)。

 法人向け製品では、ユーザーのニーズが多様なこともデザイナーを悩ませるという。法人によって、機能性や堅牢性、デザインに対するニーズが大きく異なるためだ。製品をデザインする上では、「どのようなデザインにするかよりも、ユーザーのどのニーズに応えるかをまず最初に考える必要がある」(チェン氏)。

 機能性とデザインの両立が難しい法人向けパソコン製品について、同社が出した答えの一つが、10月に発表した法人向けタブレット「ElitePad 900」だ。同製品では、本体のデザインを高める一方、機能については「ジャケット」と呼ばれるオプションを装着することで拡張できるようにしている。

 「他社のタブレット製品は、本体を薄くすることに力を入れていて、表面の処理などは気にしていないようだ」(チェン氏)。また、製品の作りやすさでデザインを決めることも少なくないという。

 一方、ElitePadではデザインを重視。アルミ削り出しの本体を採用し、表面の処理にも力を入れたとする。本体側面のボタンは極力少なくして見た目をシンプルにしているという。

 法人ユーザーごとに異なる機能に関するニーズには、ElitePad本体に取り付けるジャケットで応える。例えば、ElitePadにキーボードを追加する「キーボードジャケット」を用意。本体に装着すると、ElitePadをノートパソコンのように使える。

 そのほか、2個のUSB 2.0端子やHDMI端子などを備え、バッテリー駆動時間が18時間になる「バッテリージャケット」、4個のUSB 2.0端子、HDMIやアナログRGB、LANの端子なども備える「ドッキングステーション」なども用意する。