写真●Express5800/HR120a-1の外観
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 NECは2012年11月13日、米Intelの並列処理プロセッサーボード「Xeon Phi」を搭載したPCサーバー機「Express5800/HR120a-1」(写真)を発表、同日販売を開始した。2013年2月下旬に出荷開始する。1Uラックマウント型のきょう体に最大で2枚のボードを搭載できる。価格(税別)は、Xeon Phiを1枚搭載した基本構成で140万円から。

 既存のPCサーバー機をベースとしつつ、Xeon Phiの利用に合わせてマザーボードを設計し直した1Uラックマウントサーバー機である。新設計では、通常のマザーボードの設計とは異なり、2ソケットのXeon CPUからそれぞれ、Xeon Phi専用の2個のPCI Expressスロットに対して、2本ずつ通信パスを用意した(合計で4本のパスを使って、個々のXeon CPUが直接、2つのPCI Expressスロットと通信できる)。

 これにより、Xeon CPUとXeon Phiとの間で頻ぱんにデータ通信が発生するアプリケーション分野において、PCI ExpressバスのI/O処理がボトルネックにならないようにできる。逐次発生するビッグデータをリアルタイムにデータ処理するような場合に向く。半面、ある程度まとまったデータを一度に転送するといったアプリケーション分野では、通常のマザーボードを使う場合と、あまり変わらない。

 Express5800/HR120a-1の主な仕様は、以下の通り。CPUはXeon E5-2600(2609/2640/2670)×最大2個。チップセットはC602J。メインメモリーは最大512Gバイト。内蔵ストレージは2.5インチSAS/SATA×4台(最大4Tバイト)。Xeon Phi装着専用のPCI Express 3.0(x16)は2スロット。Xeon Phiはオプション扱いで、最大で2枚まで搭載。サポートOSは、Red Hat Enterprise Linux 6.3以降。

 基本構成(税別140万円)の内訳は、以下の通り。E5-2609(4コア/2.40GHz)×1。メモリー16Gバイト。ストレージ1Tバイト(SATA 1Tバイト×1)。1000BASE-T×2。Xeon Phiコプロセッサー3100製品ファミリー×1。

Xeon Phiはx86コードが動作する並列計算ノード

 なお、Xeon Phiとは、メニーコア(x86)の並列計算ノードである。Xeon搭載サーバー機のPCI Expressバスに挿して使う形態をとっているが、Xeon搭載サーバーとは独立した計算ノードとして機能する。Xeon Phiは多数のCPUコアとメインメモリーを備えており、自前でLinux OSが動作する。Xeon搭載サーバーからはTCP/IPなどで通信するかたち。

 Xeon Phiの用途は、スーパーコンピュータと同様の、並列処理計算である。計算量が大きい用途、分散処理/並列処理が可能な大容量データを高速に処理する用途に適する。同様の用途を持つGPU(グラフィックス処理などに向いた浮動小数点演算アクセラレータ)と比較すると、Xeon Phiはx86コンピュータであるため、アプリケーション開発/移植が容易である。