全世界で稼働するスーパーコンピュータの演算性能を集計するTOP500プロジェクトは現地時間2012年11月12日、2012年下期の最新ランキングを発表した。今回、初登場で首位となったのは、米オークリッジ国立研究所が設置した米クレイ製のGPGPUスパコン「Titan」である。LINPACKベンチマークにおける演算性能は17.59ペタフロップス。前回首位だった米ローレンス・リバモア国立研究所の「Sequioa」は16.325ペタフロップスで2位、前回2位の理化学研究所「京」は10.51ペタフロップスで3位となった。

 2012年6月時点のランキングでは、米IBM製のBlueGene/Qシステムが1位、3位、7位、8位と上位を占めた。今回のランキングでは、米エヌビディアが推進するGPGPUスパコンが一矢報いた形だ。

 Titanは、米AMDの16コア・プロセッサ「Opteron 6274」と、米エヌビディアのGPUアクセラレータ「Tesla K20X」をそれぞれ1万8688個搭載したスパコンである。理論ピーク性能と実際の性能の比率を示す実行効率は64.8%で、従来のGPGPUスパコンの50%前後と比べて高い値となった。

 このほかトップ10にランクインした新規のスパコンとして、米インテルのメニーコアプロセッサ「Xeon Phi」を搭載した米テキサス先端コンピューティングセンターの「Stampede」が7位に入った。米デルのPowerEdge C8220システムで構成したもので、LINPACK演算性能は2.66ペタフロップス、実行効率は67.2%である。

 日本では「京」のほかに、青森県六ヶ所村の国際核融合エネルギー研究センターに設置した仏ブル製のスパコン「六ちゃん(英語名Helios)」が1.237ペタフロップスで15位、東京工業大学の「TSUBAME2.0」が1.192ペタフロップスで17位に入った。

 TOP500ランキングの全体的な傾向としては、米インテルのプロセッサを搭載したスパコンが76%を占め、米AMDが12%、IBMが10.6%と続く。プロセッサ間を接続するインターコネクトは、InfiniBandを採用するスパコンが226システムと前回の209より増えた一方、ギガビットイーサネットの採用数は188システムで、前回の207より減少した。

 TOP500にランクインしたスパコンの設置台数では、米国が250台と圧倒的な1位である。以下、中国、日本、イギリス、フランス、ドイツと続く。ただし実行性能の総計で見ると、「京」を持つ日本は中国を超えて2位に浮上する。