写真1●PFUのドキュメントスキャナー新製品「ScanSnap iX500」
写真1●PFUのドキュメントスキャナー新製品「ScanSnap iX500」
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写真2●新規開発した専用画像処理エンジン内蔵の「GI」デュアルコアプロセッサーを内蔵する
写真2●新規開発した専用画像処理エンジン内蔵の「GI」デュアルコアプロセッサーを内蔵する
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写真3●PFUの長谷川清社長
写真3●PFUの長谷川清社長
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 PFUは2012年11月12日、都内で記者発表会を開催し、同社のドキュメントスキャナー「ScanSnap」シリーズの新製品「ScanSnap iX500」(写真1、型番はFI-IX500)を発表した。本日から受注を開始し、11月30日から販売を始める。価格はオープンだが、同社直販サイト「PFUダイレクト」での販売価格は4万9800円となっている。文書ファイリングソフト「楽2ライブラリ Smart with Magic Desktop」を同梱したDeluxeモデルも用意。こちらも同様に、直販価格は5万4800円となっている。

 ScanSnap iX500(以下、iX500)は、A4サイズまでの用紙(付属のキャリアシートを使うことでA3サイズまで対応可)やカード類を連続的にスキャンして、PDFファイルまたはJPEG画像に変換できるドキュメントスキャナー。従来販売していたS1500/S1500Mの後継に位置付けられるフラッグシップモデルとなる(S1500/S1500Mは販売終了)。

 同社が新たに開発した専用画像処理エンジン内蔵の「GI」デュアルコアプロセッサー(写真2)を搭載したことにより、スキャン速度を大幅に高速化した。300dpiカラー原稿のスキャン時において、S1500/S1500Mでは「毎分20枚」(両面原稿で40面/分)だったのに対し、iX500は「毎分25枚」(同50面/分)へと25パーセント高速化している。

 GIプロセッサーの搭載によって実現したiX500のもう一つの大きな売りが、「スマートフォンやタブレット端末へのスキャンデータの直接転送」である。iX500とiOSまたはAndroid端末をWi-Fi(IEEE802.11b/g/n)で接続し、パソコンを介さずにスキャンデータ(PDFあるいはJPEGファイル)を直接転送できる。

 iOSまたはAndroid端末から同機能を利用するには、同社が無償で配布する専用アプリのインストールが必要。専用アプリは、販売開始日である11月30日に、App StoreおよびGoogle Playで配布開始する予定である。サポートするiOSのバージョンは「4.3以降」で、Android OSのバージョンは「2.2以降」となっている。

 なお、スマートフォンやタブレット端末とのWi-Fi接続の際には、無線LANルーターや無線LANアクセスポイントが別途必要になる(iX500自身がアクセスポイントになることはできない)。また、「技術的には完全にPCレスで利用可能」(PFU)であるものの、現状ではスマートフォンやタブレット端末でのみ利用するユーザーの場合でも、初期設定のために一度パソコンとの接続が必要となる。

「両面原稿の裏写り防止機能」をシリーズで初めて搭載

 給紙性能なども同社従来製品と比べて強化した。同社の業務用スキャナーで採用している「ブレーキローラーによる原稿分離方式」をScanSnapシリーズで初めて採用。さらに、超音波センサーによるマルチフィード(重送)チェック機能なども搭載する。消耗部品の耐久性も大幅に向上しており、S1500では「10万枚」が目安だったピックローラユニットの交換周期が2倍となる「20万枚」になるなどしている。

 パソコンに接続して使う際の付属アプリの使い勝手などの面でも、様々な改善や機能追加および強化が図られている。例えば、(1)名刺やレシートなどスキャンした用紙サイズに合わせて対応アプリのアイコンを自動的にメニューの先頭位置に表示する「おすすめ」機能の追加、(2)スキャンデータを並列処理することで、OCR(光学文字認識)処理により検索可能なPDFを生成する時間をS1500比で最大45パーセント高速化、(3)両面原稿の裏写りを軽減する機能をScanSnapシリーズで初めて搭載---などが挙げられる。

 発表会の冒頭で登壇した同社の長谷川清社長(写真3)は、同社が過去10年以上にわたって業務向けや個人向けドキュメントスキャナー分野で様々な技術革新を進め、市場をリードしてきたことを強調。そうした実績を踏まえた上での「次の一手」として、iX500が備える新機能であるスマートフォンやタブレットなどへの直接転送機能を紹介し、「想像を超える便利がある」(長谷川社長)とその完成度に自信を見せていた。