写真●日本マイクロソフトの平野和順デベロッパー&プラットフォーム統括本部業務執行役員
写真●日本マイクロソフトの平野和順デベロッパー&プラットフォーム統括本部業務執行役員
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 「ユーザー指向、ソーシャル、データ指向。開発者がおさえるべき3つのポイントはこれだ」。日本マイクロソフトの平野和順デベロッパー&プラットフォーム統括本部業務執行役員はこう語る(写真1)。平野氏は2012年11月7日に開催された開発者向けイベント「X-over Development Conference 2012(XDev2012)」(主催は日経BP社)の特別講演に登壇。開発者に向けて最新の開発トレンドを紹介した。

 ポイントの1つ目に当たるユーザー指向とは、ユーザー目線によるソフトウエア開発の必要性が高まっていることを指す。「ITのコンシューマライゼーションにより、アプリケーションに対するユーザーの期待が高まっている。それは社員のみが使う企業内アプリケーションであってもだ。あらためてユーザーの目線に立って開発することが求められている」(平野氏)。また平野氏はユーザー指向の文脈で、スマートフォンやタブレット機の普及に伴うマルチデバイス化への対応が急がれていることも指摘した。

 次のソーシャルというキーワードは、FacebookやTwitterなどSNSの普及・浸透が開発者にとって見逃せなくなってきたことを指す。「ユーザーは一般に普及しているソーシャルサービスの仕様や機能になれてきており、どうして企業内アプリはSNSのように使えないのかと不満に思っている。一般に普及しているSNSの要素を、どう自分たちのアプリケーションにも組み込むかが重要になってきている」と平野氏は語る。

 また、特にコンシューマ向けのアプリケーションやサービスでは著名なSNSとの連携が求められるケースが増えていると指摘。この点でもソーシャルの側面が見逃せないとした。

 3つ目のデータ指向というキーワードは、大量のデータを処理しつつも多様なデバイスをサポートする必要性を表現したものである。

 今のアプリケーションは、大量のデータを扱うのと同時に、多様なデバイスをサポートする必要がある。またデバイスの種類やアプリケーションの内容に応じて、デバイス側ではプレゼンテーションに徹するべきケースもあれば、ある程度の処理を任せるべきケースもある。

 このような条件に対応できるアプリケーションの前提となるのが、データベース層の設計の最適化だと平野氏は指摘する。「データ側の設計が混乱しているとまずうまくいかない。あらためてしっかりとしたデータの設計が求められている。その上で、ユーザーやビジネスのニーズに応じて日々アプリケーションを進化させていく必要もある」(平野氏)。

VS2012でマルチデバイスやライフサイクルマネジメントをサポート

 こうした動向を示した上で、平野氏は同社が提供している開発環境の最新版となる「Visual Studio 2012」製品群を紹介した。特徴は大きく2つ。1つはマルチデバイスやクラウドサービスのサポート。Windows 8アプリやWindows Phone 8のアプリ、そしてWindows Server 2012やWindows Azure上で動作するクラウドアプリケーションの開発機能を備える。

 もう1つはアプリケーション開発におけるライフサイクルマネジメントのサポート。開発管理ソフトウエアの新版「Visual Studio Team Foundation Server 2012」ではプロジェクト管理の機能や開発情報の共有機能を強化しており、条件が複雑になる中でも開発生産性を上げやすくしたという。

 平野氏は「ソフトウエアに対する要求が高まり、開発の複雑性が高まる中、ますます開発者をサポートする環境の重要度が増しつつある。Visual Studio製品群を通じて、開発者も幸せになり、かつユーザーも幸せになるという姿を実現していきたい」と語る。