図1●携帯電話大手3社の純増数推移
図1●携帯電話大手3社の純増数推移
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図2●携帯大手3社における番号ポータビリティ(MNP)の転入出状況
図2●携帯大手3社における番号ポータビリティ(MNP)の転入出状況
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 電気通信事業者協会(TCA)は2012年11月7日、10月末時点の携帯電話の契約数を発表した。新規契約から解約を差し引いた純増数は、ソフトバンクモバイルが28万4200件と10カ月連続の首位だった(図1)。2位のKDDI(au)は23万8800件、3位のNTTドコモは7200件。順位は10カ月連続で同じだが、10月はiPhone 5(9月21日発売)の影響が大きく出て、NTTドコモの“独り負け”が鮮明となった。

 ソフトバンクモバイル、KDDIともにiPhone 5の販売が好調。特にKDDIは冬モデルの発売が11月以降だったことに加え、他2社に比べて通信モジュールの純増数が少なかったことを考えると、iPhone 5だけで相当の純増数を獲得したとみられる。KDDIは番号ポータビリティ(MNP)の転入出状況でも、15万2700件の転入超過と13カ月連続の首位を維持した。転入超過数は2006年11月の21万7600件に次いで過去2番目に多く、ソフトバンクモバイルの3万7900件に大差を付けた(図2)。

 iPhone 5を販売していないNTTドコモは厳しい状況が続く。MNPは18万9800件の転出超過と過去最悪。純増数もMNPが始まった2006年10月以降、4番目に低い水準だ。NTTドコモは「冬モデル発表で買い控えもあった」としているが、関東・甲信越を除いた全地域で純減だった。同社は、純減の回避につながった通信モジュールについて「法人で大口の契約があった」としているが、アマゾン ジャパンが11月18日に出荷する「Kindle」(関連記事)が寄与した可能性もある。

 NTTドコモは2012年4~9月期の連結決算(関連記事)で、それまで280万件としていた2012年度の純増数目標を201万件に下方修正した。だが10月末時点の累計純増数は66万4300件と、達成は非常に厳しい状況。それでも加藤薫社長は決算説明会で「800億円を超える営業費用を投入して対抗していく」としており、営業利益の通期予想を下方修正してまで投入する対抗策が注目される。

 携帯大手3社以外の純増数はウィルコムのPHSが4万4100件、2月にAXGPの商用サービスを始めたソフトバンク系のWireless City Planningが6万7600件、KDDI系のUQコミュニケーションズのWiMAXが12万3200件だった。UQコミュニケーションズは今年9月まで10カ月連続で15万件以上の純増と好調だったが、WiMAX対応スマートフォンの新製品が減り、純増数も下降気味となっている。