米IHS iSuppliは現地時間2012年11月5日、米Amazon.comの7インチの「Kindle Fire HD」タブレット端末の実機を分解して調査した原価分析結果を発表した。それによると、希望小売価格が199ドルのWi-Fi接続専用16Gバイトモデルは、BOM(Bill of Material:部品表)に基づく部品原価が165ドルで、製造コストを含めると174ドルになる。

 iSuppliは、「ソフトウエアやライセンス料などの諸費用を除いたコストが174ドルもかかるのでは、199ドルの販売価格で儲けを出すのは厳しい。しかしAmazon.comはハードウエアで利益を得るのではなく、魅力的な価格で製品を提供し、多くの消費者を同社のコンテンツやECサイトに引きつける戦略をとっている」と分析している。

 またiSuppliは、Kindle Fire HDがコストを削減しつつ、オリジナル機種の「Kindle Fire」より性能を向上させている点を指摘した。Kindle Fireは販売価格が199ドルに対し、部品および製造コストが201.70ドルと、売れるごとに赤字になる。

 Kindle Fire HDで最も高い部品は推定原価64ドルのディスプレイ(解像度は1280×800)で、部品全体の39%を占める。Kindle Fireのディスプレイ(同1024×600)からアップグレードする一方、コストを23ドル抑えることができた。サプライヤーは韓国LGだが、パナソニック製も採用している可能性がある。

 DRAMおよびNANDフラッシュメモリーは推定23ドル。DRAMはKindle Fireの512Mバイトから1Gバイトに、フラッシュメモリーは8Gバイトから16Gバイトに倍増したが、コスト増はわずか1ドルで済んでいる。

 プロセッサは米Texas Instruments(TI)製を採用し、動作周波数1GHzの「OMAP4430」から1.5GHzの「OMAP4460」に強化したが、半導体市場の価格下落を反映し、コスト増は2ドル未満とした。

 バッテリーはKindle Fireと変わらないが、推定原価は16.50ドルから15ドルに引き下げた。そのほか、新たに搭載したカメラは100万画素と低解像であることなどから原価は2.50ドルと推定している。

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