写真1●米ヴイエムウェアのマーティン・カサド Nicira R&Dチーフアーキテクト
写真1●米ヴイエムウェアのマーティン・カサド Nicira R&Dチーフアーキテクト
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 「VMwareとニシラの統合製品を来年末に提供したい」。ヴイエムウェアが2012年11月6日から7日まで開催中の自社イベント「vForum2012」のテクニカルセッションに、米ヴイエムウェアのマーティン・カサド Nicira R&Dチーフアーキテクトが登壇した(写真1)。同氏はネットワーク仮想化ベンチャーだった米ニシラの共同創業者。ニシラは2012年7月、ヴイエムウェアに買収された。買収後、国内では初めてカサド氏が今後の展望について語った。

 カサド氏は「ヴイエムウェアの仮想ネットワーク製品である『vCloud Networking and Security』はVMware環境ではベストのソリューションになっている。ニシラの『NVP』は様々なハイパーバイザーをサポートする環境で利用できる。統合製品は両者の特徴を取り込んだものになる。コントロール機能が集約され、2013年末には一つの製品であらゆる環境においてネットワーク仮想化を利用できるようになる」と今後のロードマップを示した。さらに「現時点でもそれぞれの製品はすでに併用できる」と付け加え、技術的には準備が整っていることを強調した。

 ネットワーク仮想化のメリットについては「サーバーのプロビジョニングを短時間に、低コストにする」(カサド氏)点を挙げた。サーバーの仮想化によって、サーバーのプロビジョニングに掛かるコストは1万ドルから300ドルに、所要時間は10時間から2分になったという。しかし、クラウドのように大規模な環境ではサーバーのプロビジョニングに伴うネットワークやストレージの設定変更にかかわる負荷が大きくなっており、現在では1800ドルのコスト、5日間の時間が掛かるようになってしまっている。

 そこで、物理的なネットワーク構成の上に抽象化した論理的なネットワークのレイヤーを作成するのが、ネットワーク仮想化だ。「仮想マシンを置ける場所が限定されたり、労働集約的なオペレーションだったりといった、既存の物理的なネットワークに依存した問題を解決する。ネットワークの設定をすべて自動化できて、人手の介入がいらなくなる」(カサド氏)という。

 ニシラはネットワーク仮想化のため、オープンなハイパーバイザーを対象にしたソフトを開発してきた。オープンソースソフト(OSS)である「Open vSwitch」もそうした一つだ。多様なハイパーバイザーのサポートや、OSSベースの開発といった開発方針の今後については、「ヴイエムウェアによる買収後に情報の混乱があったが、これまでと同様にどのクラウドでも対応できるものを作っていく。OSSとしての開発も続ける」(カサド氏)と表明した。