KDDI(au)は2012年11月2日、公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」で、SIMカードの契約者情報を用いた認証方式を導入したと発表した。LTEや3Gの通信から無線LANへの切り替え時間を大幅に短縮できるという。同日から発売を開始した「4G LTE」対応のAndroid搭載スマートフォンが対象で、iPhone/iPad向けにも導入を検討していく。

 au Wi-Fi SPOTではこれまで、接続端末の認証にMACアドレス認証を採用していた。無線LANの接続はすぐに完了するが、その後で契約者情報などの確認処理が入るため、実際に通信できるまで時間がかかっていた。

 これに対して新しい認証方式(EAP-SIM)ではレイヤー2レベルで契約者情報の確認も同時に済ませられるため、無線LANのアンテナピクトの点灯と同時に通信できる。同社は「体感速度で10秒程度早くなる」としている。新方式は全体で約20万カ所(10月14日時点)あるアクセスポイント(AP)のうち、半分以上が対応済み。SSIDは「au Wi-Fi2」となっており、「4G LTE」の契約者だけが利用できる。

 このほか、無線LANの電波強度を確認して自動的に切り替える「au Wi-Fi接続ツール」も改良した。従来は多くのAPが混在する場所を歩いて移動していると、電波強度が高いと判断して切り替えても、通信できない状態に陥ることがあった。そこで利用者の歩行速度に合わせて電波強度のチェック間隔を調整する機能を搭載し、一定のレベルを下回ったら早々に接続を断念する仕組みなどを取り入れた。AP側のチューニングも並行して実施しているという。

 EAP-SIMの導入は、ソフトバンクモバイルも同社の公衆無線LANサービス「ソフトバンクWi-Fiスポット」で進めており、12月までに展開を終える計画。同社は無線LANの電波強度だけでなく、端末の位置情報や加速度センサーなどを活用して切り替えを判断する仕組みも実装し始めた。スマートフォンによるトラフィック増大に備え、各社が競い合ってオフロード対策を強化している。