サムスングループは、半導体や液晶パネル、有機EL製品などを専門に取り扱う日本サムスンなどを11月中に順次、品川に移転して営業を開始する。顧客と密着して経営の迅速化や専門性を高める狙いがあるという。スマートフォンなどの完成品を扱うサムスン電子ジャパンは東京都港区六本木にとどまる。

 移転するのは、主に日本の電機メーカーに部品を販売している事業。日本サムスンや、部材を扱う事業部門。羽田空港など交通の便を考慮し、品川グランドセントラルタワー(東京・港区)に移る。

 これまでサムスンは、日本に進出しているグループ企業が、敷地の所有者である日本サムスンと三井不動産が共同出資して複合ビルとして2003年に建設した「六本木ティーキューブ」(東京都港区六本木)を拠点として集まっていた。

 従来からサムスンは、半導体などの部材を扱う事業部門と、完成品を扱う事業部門の間の利益相反を避けるため、情報のファイヤーウォールなどがあり、事業ごとに独立性の高い経営をしてきた。さらに、専門性とスピードを高めるため米国や欧州では独立経営の体制となり、日本でも2012年5月1日にサムスン電子が100%出資する日本サムスンなどを組織再編し、約10の法人と拠点に分割した。携帯電話キャリア向け基地局システムの運用保守などを担っていた旧サムスンテレコムジャパンが、2012年1月に社名変更して現在のサムスン電子ジャパンとなった。