富士通セミコンダクターは2012年11月1日、パシフィコ横浜で開催中の「Smart City Week 2012」において、高速に書き換えできる不揮発性メモリー「FRAM」(Ferroelectric RAM)のデモンストレーションを展示している(写真1)。センサーがデータをリアルタイムに収集/記録する時代ではFRAMの需要が高まる、としている。
FRAMとは、同社が1999年から出荷している、高速に書き換え可能な半導体メモリーである。書き換え速度や書き換え可能回数(寿命)においてSRAMと同様の感覚で使える一方で、揮発性のSRAMとは異なり、バッテリーを必要とせずに記録内容を保持できる。出荷当時は高価なメモリーだったが、現在では「(SRAMよりも低速/低寿命の)E2PROMと勝負できるものもある」(説明員)価格という。
同社は、今後やってくる情報社会(センサーネットワーク社会)においては、停電でも情報が消えない不揮発性メモリーで、なおかつ、短いサンプリング間隔でデータを書き換えても長期にわたって使い続けられる長寿命メモリーが求められるだろう、というシナリオを描いている。
展示ブースでは、風力の計測センサーを使ってFRAMとE2PROMを比べたデモが注目を集めた。FRAMはサンプリング間隔として2ミリ秒に1回ログデータをメモリーに記録する(写真1の左側画面の青いグラフ)。この使い方で、FRAMの寿命は634年間である。一方、E2PROMは、もっと粗い間隔でログを記録している(オレンジのグラフ)。仮にE2PROMをFRAMと同じ間隔で利用すると、寿命は6時間で終わってしまう。
もう一つのデモでは、SRAM、FRAM、E2PROMの3つのメモリーを横に並べて、同一のアプリケーション回路を使ったデータ書き込みの速度を比較する基盤を実演した(写真2)。この実演では遅いタイプのSRAMを使っているので、SRAMとFRAMの速度の違いはほとんど表れていない。一方で、E2PROMは明らかに遅い数値を表示していた。
メモリーの種類 | SRAM | FRAM | E2PROM | FLASH |
---|---|---|---|---|
書き換え時間 | 55ns | 150ns | 10ms | 10μs |
書き換え回数 | 無制限 | 1兆回 | 100万回 | 10万回 |
データを保持するバッテリー | 必要 | 不要 | 不要 | 不要 |
第5段落でFRAMの価格を「E2PROMと勝負できる」としていましたが「E2PROMと勝負できるものもある」の誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2012/11/02 12:23]