写真●スウェーデン ストックホルム市 環境・厚生局長Gunnar Soderholm氏
写真●スウェーデン ストックホルム市 環境・厚生局長Gunnar Soderholm氏
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 「Smart City Week 2012」(主催:日経BP社、特別協力:横浜市、2012年10月29~11月2日開催)の国際会議「【リアルビジネスの胎動】事業化の課題と解決策」に11月1日、スウェーデンのストックホルム市の環境・厚生局長であるGunnar Soderholm氏が登壇し、同市がサスティナビリティ(持続性)を高めるために取り組んでいる内容を解説した。

 ストックホルム市は現在、行政と市民、企業が一体になって、世界トップクラスの“サスティナブルシティ”の実現・維持に取り組んでいる。具体的には、環境負荷の少ない住宅街やオフィス街へ再開発の促進だ。かつての同市は、「公害によって空気が濁り、湖も泳げないほどに水が汚染された工業地区だった」(Soderholm氏)。

 ただ、同市の人口は、現在の約85万人が2030年には20万人増え100万人を超えると予測され、人口の増加と過密化への対応が新たな課題になっている。これら環境負荷の低減と人口の過密化の両方を解決する取り組みの一つとして、Soderholm氏が挙げるのが渋滞税の導入だ。

 ストックホルム市は渋滞税として、市の中心部にあって渋滞が起きやすい地域を通る自動車に対し、1日最高6ユーロの通行税を課している。その効果として、「自家用車での通勤が減り,人口が急激に増える中でも自動車の交通量は増えていない」(Soderholm氏)。自家用通勤を止めた市民は、「渋滞に巻き込まれることを嫌い、自転車通勤にシフトしている」(同)という。

 特定地区への流入を測るために同市は、車載のICカードシステムやビデオ画像処理により車両を特定するシステムを導入している。システムは米IBMが構築した。

 渋滞税に対して市民は当初、全体の75%が反対していた。それが2006年に住民選挙において導入メリットを説いたことから好意的に変わってきたという。実施後は特に、「効果が目に見えて表れたことから、今では高い評価を得られている」とSoderholm氏は語った。