米東部を襲った大型ハリケーン「Sandy」の影響により、10州の約20%の世帯でテレビやインターネット、電話など情報取得手段となる通信の一部あるいはすべてが切断された。米連邦通信委員会(FCC)が現地時間2012年10月31日に発表した通信状況報告を複数の米メディア(Wall Street JournalNew York TimesComputerworldなど)が報じている。

 FCC公共安全および国土安全保障局責任者のDavid Turetsky氏によると、東部時間10月31日午前10時時点の10州158郡における無線基地局の停止状況は22%で、24時間前の25%から少し改善した。しかし、FCCのJulius Genachowski委員長は同日午後3時45分に出した声明で「危機はまだ過ぎ去っていない」と強調し、引き続き警戒するよう呼びかけている。

 ケーブルサービスは復旧が早急に進んでおり、30日は加入世帯の約25%がテレビやインターネット、電話にアクセスできなかったが、31日にはその割合は20%未満に減った。

 米Verizon Wirelessは30日、被害地域に設置されている基地局のうち6%が停止しているものの、交換システムおよびデータセンターはすべて通常通り稼働していると報告した。また、同社は緊急措置として臨時のアンテナを建て、ニュージャージー州北部の大手金融機関の需要に対応している。

 一方、米AT&TとドイツDeutsche Telekomの米国法人T-Mobileは特別な措置で対処していることが明らかになった。両社はニューヨーク州およびニュージャージー州における相互ネットワーク間のローミングを可能にすることで合意。両社のユーザーは、使用可能ないずれかのネットワークを介して通信手段を確保できる。今回の場合、ローミング料は課金されない。両社ネットワークがともにGSMおよびUMTSをベースにしていたため、こうした共同措置が実現したという(AT&TT-Mobileのプレスリリース)。