写真1●2012年4~9月期連結決算を発表するソフトバンクの孫正義社長(東京証券取引所)
写真1●2012年4~9月期連結決算を発表するソフトバンクの孫正義社長(東京証券取引所)
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 ソフトバンクは2012年10月31日、2012年4~9月期の連結決算を発表した。売上高は前年同期比3.3%増の1兆5861億円、営業利益は同7.9%増の4027億円の増収増益だった。売上高は3期連続の過去最高、営業利益も7期連続の過去最高を記録した。携帯電話大手3社の中で唯一の増益となり、孫正義社長(写真1)からは「絶好調」発言も飛び出た。2012年度通期の連結営業利益は7000億円を確実に上回り、2016年度には国内だけで1兆円を目指すとした。

 9月21日に発売した「iPhone 5」でKDDIとの顧客争奪戦が激しくなっているが、孫社長は好調をアピールした。「昨年はKDDIの参入で相当な危機感があり、顧客流出を防ぐために300億円を持ち出した。今年は大きく費用を持ち出さなくてもいけるという十分な読みがあり、むちゃしなくて済んだ。実際、読みよりベターな着地で出てきている。むしろ今回のLTE価格で来年、再来年の増益基調をしっかり確保することができている」とする。

 ソフトバンクモバイルは従来、KDDIより月1050円安いパケット定額料金を設定していたが、iPhone 5からKDDIと同水準に引き上げた。MNP(番号ポータビリティ)の転入超過数でKDDIに負けているものの、iPhone 5への乗り換えや純増数の獲得を順調に進めていけば、十分成長を見込めるとの判断である。さらに孫社長は「昨年まではiPhoneだけで伸びていると言われてきた。KDDIが参入して株価は暴落したが、同じiPhoneを扱っていても業績に差が出ている。つまり、好調の要因は一つ(iPhone)だけではないことが証明されつつある。我々は言い訳抜きに業績を伸ばしていくし、その自信もある。だから海外に打って出られるようになった」と自信を示した。

KDDI版iPhone 5に対する優位性をアピール

写真2●LTE待ち受け時のパケット通信の接続状態を最適化(同社説明会資料から抜粋)
写真2●LTE待ち受け時のパケット通信の接続状態を最適化(同社説明会資料から抜粋)
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 とはいえ、決算説明会ではKDDI版iPhone 5に対する優位性についてのアピールも欠かさなかった。「ソフトバンク版iPhone 5には都市伝説のように2つの誤解が浸透している」として挙げたのが、連続待ち受け時間と基地局に関する話題。前者は「LTE接続時の連続待ち受け時間はKDDI版が約260時間、ソフトバンク版が160時間」との報道が出ていたが、LTE待ち受け時のパケット通信の接続状態を最適化した結果、「auより長持ちになった」と主張した(写真2)。