写真1●マイクロアドなどが共同開発した顔認識機能付き自動販売機
写真1●マイクロアドなどが共同開発した顔認識機能付き自動販売機
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写真2●ディスプレーしたのカメラの映像を解析し、顔の位置を特定し、年齢・性別を推定する。写真はマイクロアドの瀧本岳取締役
写真2●ディスプレーしたのカメラの映像を解析し、顔の位置を特定し、年齢・性別を推定する。写真はマイクロアドの瀧本岳取締役
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写真3●「30歳代・男性」と判定され、自動車の広告が表示された。Web用のバナー広告をそのまま拡大しているため、やや画質が粗い
写真3●「30歳代・男性」と判定され、自動車の広告が表示された。Web用のバナー広告をそのまま拡大しているため、やや画質が粗い
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 サイバーエージェントの子会社でインターネット広告配信サービスを運営するマイクロアドは2012年10月30日、顔認識(顔認証)カメラを用いたターゲティング広告配信技術を共同開発したと発表した。30日から31日まで東京都内で開催されたデジタル広告の専門カンファレンス「アドテック東京」(関連記事1関連記事2)において、試験機を展示した(写真1)。今後さらに実証実験を行ったうえで、ネット広告とデジタルサイネージ(電子看板)を連動させた広告の実用化を目指す。

 試験機は、デジタルサイネージ付き飲料自動販売機の形態で展示した。パナソニック子会社で映像認識技術に強みを持つピーディーシー(PDC)と、カメラシステムに強みを持つシキノハイテックを加えた3社共同で開発したもので、飲料大手のダイドードリンコが持つデジタルサイネージ付き飲料自動販売機に広告を表示した。

 自販機の前面には顔認識システムを搭載したカメラと広告表示用のディスプレイがあり、什器の内部に収納したノートパソコンにつながっている。自販機の前に立つと、カメラの映像で顔の位置を特定し、これを基に年齢と性別を推定する(写真2)。そして、該当する年代層に合った広告をディスプレイに表示する(写真3)。

バナー広告をそのまま街中で配信

 例えば、「30歳代・男性」と判定された場合は、自動車の広告を表示する。「20歳代・女性」なら化粧品などの広告を表示する。

 顔認識エンジンにはPDCの技術を採用している。あらかじめサンプルとして収集した膨大な顔写真の輪郭、目・鼻・口の配置を標準化したデータを基に、年齢と性別を推定する。10歳刻みならほぼ正確な結果を得られるが、認識精度を落として「5歳刻み」などに範囲を狭める設定もできる。

 こうした顔認識技術を用いた自販機やデジタルサイネージは他社では既に実用化されており、JR東日本グループが展開する「次世代自販機」(関連記事、顔認識エンジンはオムロン製)などが有名だ。

 これらとマイクロアドの技術が異なるのは、インターネット広告と組み合わせて運用できる点である。デジタルサイネージに表示される広告は、実はWebサイト用の標準的なサイズのバナー広告を拡大したものだ。広告主にとって、1枚のバナー広告を用意すれば、ネット上と街中の両方で、ターゲットを絞った広告を配信できる利便性を得られる。

 マイクロアドの瀧本岳取締役は、「当社は3000社以上の広告主と取引があるが、今はネット上のターゲティング広告に特化している。新技術を生かして、今後はネットの外に出ていきたい」と説明する。

[マイクロアドの発表資料]

■変更履歴
当初、2段落目の共同開発した3社の構成と、3段落目の自販機に搭載するカメラの記述に誤りがありました。共同開発した3社はマイクロアド、ピーディーシー(PDC)およびシキノハイテックで、自販機に搭載されているカメラは顔認識システムを搭載したカメラです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2012/11/01 17:10]