図●国内DLP(Data Loss Prevention)市場の売上予測(2011年~2016年。2011年は実績値、2012年以降は予測、出典:IDC Japan、2012年10月)
図●国内DLP(Data Loss Prevention)市場の売上予測(2011年~2016年。2011年は実績値、2012年以降は予測、出典:IDC Japan、2012年10月)
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 IDC Japanは2012年10月31日、2011年の国内DLP(Data Loss Prevention)市場規模の実績と2016年までの予測を発表した。これによると、2011年の国内DLP市場の規模は29億円で、前年比成長率は53.2%だった。また、同市場の2011年~2016年における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は25.6%で、IDCでは2016年の市場規模を90億円と予測している()。

 DLP製品は、データの移動時や利用時にデータを検出しブロックするネットワークDLP、クライアントPCやサーバーなどエンドポイント上の機密データの利用を検知し制御するホストDLP、機密データの格納場所をスキャンするディスカバリーDLPがあり、ソフトウエア製品とアプライアンス製品が含まれる。

 IDCでは、2011年の国内DLP市場について、標的型攻撃などによる情報漏洩事件が増加していることから、情報漏洩対策ソリューションとしてソフトウエア製品を中心に需要が高まったとしている。また、2012年以降については、巧妙化が進む標的型攻撃やモバイルデバイスの利用増大によって情報漏洩リスクが高まっていることから、PCやサーバー、モバイルデバイス上での情報漏洩対策であるホストDLPの需要が高く、市場拡大をけん引するとしている。

 IDCが2012年2月に実施したユーザー調査結果では、製品導入の課題として「予算」を挙げる企業が、導入済みもしくは導入検討中の企業の6割に達したという。このことからIDCでは、導入費用と導入作業が市場拡大の阻害要因になっていると指摘している。

 DLP製品は、機密情報の外部漏洩を防止する製品で、現時点では予算の問題から全社導入よりも一部門での導入を検討している企業が多い。しかし、今後は企業の全データ保護対策の一環として、部門導入から全社導入に広がるとIDCでは見ている。

 その場合、一部門に導入したソリューションでは機能が限定されていることなどから拡張性が問題になるとして、「ベンダーは、限定した機能から統合的な情報漏洩対策まで網羅できる、拡張性を持ったDLPソリューションを提供する必要がある。これによって予算の問題で全社導入が難しかった企業においても、全社的な情報漏洩対策の強化を段階的に図ることができるようになる」と、IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの登坂恒夫氏は述べている。