写真●米IBM Distinguished Engineer Member Colin Harrison氏
写真●米IBM Distinguished Engineer Member Colin Harrison氏
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 「都市運営をスマートするには、データの把握から分析、意思決定、管理、制御まで幅広い地域や要素が絡む。それだけに、行政から企業、市民までが生成するすべてのデータを共有できる仕組みができるかどうかで成否が決まる」――。米IBM のDistinguished Engineer MemberであるColin Harrison氏(写真)は2012年10月30日、「Smart City Week 2012」の国際会議「復興に学ぶまちづくり」に登壇し、スマートシティにおいてITが果たすべき役割について講演した。

 Harrison氏は,IBMの「スマーターシティ」の技術プログラムの発案者。ブラジルのリオデジャネイロ市で洪水対策を中心としたスマートシティプロジェクトを主導したほか、東日本大震災後は、地震と津波で被災した地域の復興に向けて東北地方で過ごすなど、災害に強い街づくりにも注力している。

 講演ではまず、リオデジャネイロ市の事例を引きながら,「Intelligent Operations Center(IOC)」と呼ぶ仕組みを解説した。IOCは、治水や水の供給、交通、エネルギーなど様々な社会インフラを統合的に管理・制御することで、都市のスマート化を実現するためのシステムである。

 現在のIOCは、収集する情報をセンサーなどから得られるものに限っている。だが今後は、ニュース記事や画像、SNS(ソーシャルネットワークサービス)など、その真偽や精度が不安定な情報にまで対象を広げ、「その重要性を自律的に判断できるシステムに進化させていく」(Harrison氏)という。

 IOCを使った都市づくりでは、大規模なインフラやシステムが必要になっていく。そのためHarrison氏は、「行政だけでは手に負えない部分には、企業がどんどん支援していくべきだ」と強調した。