写真1●開港以来の成長の歴史が「市の財産だ」と語る横浜市の林文子市長
写真1●開港以来の成長の歴史が「市の財産だ」と語る横浜市の林文子市長
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写真2●2050年を見据えた環境未来都市構想を説明する内閣府の猪熊純子 地域活性化統合事務局次長
写真2●2050年を見据えた環境未来都市構想を説明する内閣府の猪熊純子 地域活性化統合事務局次長
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 パシフィコ横浜で開催されている「Smart City Week 2012」(10月29日~11月2日)において2012年10月30日、「復興に学ぶまちづくり」と題した国際会議の冒頭に、横浜市の林文子市長と内閣官房の猪熊純子 地域活性化統合事務局次長が登壇し、「環境未来都市構想」に代表される日本発のスマートシティ構築の取り組みを通して、ICT(情報通信技術)の利用をテコにした都市づくりの在り方を世界に先駆けて問いかけたいと語った。

 林市長は、「開港以来、横浜市は数々の課題を官民挙げての取り組みで乗り越えてきた。そこでは経験・ノウハウは当市の財産だ」と強調。そこに、環境未来都市構想を含む現在の取り組みを加味することで、持続可能な新しい都市の姿を世界へ発信できると期待する(写真1)。

 世界のスマートシティ関連プロジェクトについて林市長は、ICTなどスマートテクノロジーを導入する動きが世界で進展しているとしたうえで、横浜市でも、一般家庭へのHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を導入するなど、EMSの確立に取り組んでいる例を紹介した。

 横浜市はSmart City Week 2012の会期中に、「アジア・スマートシティ会議」を開催しアジアの10都市や国際機関の代表とスマートシティの在り方について議論する。林市長は、「市民が真に快適であるために、都市づくりの経験・ノウハウの世界へ発信し共有したい」とした。

 一方、内閣官房の猪熊氏は、環境未来都市構想においては、2050年を見据えた取り組みであることを紹介し、「環境と超高齢化に対応しながら需要と雇用を拡大することで持続可能な都市づくりを実現する。世界に先駆けた日本の取り組みを解決策として提示したい」と、その狙いを強調した(写真2)。そこで目指すのは、「誰でも暮らしたい街、活力のある街といった新しい都市の形の創出だ」(猪熊氏)と言う。

 そのためには、「ITを使った社会インフラのスマート化は不可欠」(猪熊氏)とし、先行するエネルギーのスマート化に続き、交通や健康、見守りなどの分野でもスマート化が進むとの見方を示した。

 こうした先駆的な取り組みを世界に発信する施策の一つして、北海道下川町で2013年2月16日に「環境未来都市構想推進国際フォーラム」を開催する予定で、来場者の参加を呼びかけた。