写真●Veritas Dynamic Multi-Pathing for VMwareの管理画面(vCenterのプラグイン)
写真●Veritas Dynamic Multi-Pathing for VMwareの管理画面(vCenterのプラグイン)
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 シマンテックは2012年10月30日、サーバー仮想化ソフト「VMware ESX」のストレージアクセス機能を強化するアドオンソフト「Veritas Dynamic Multi-Pathing for VMware」(写真)を発表、同日提供を開始した。複数あるSAN接続の経路を上手に使うことで、ストレージアクセスの性能と可用性を高める。

 VMware ESXを動作させた物理サーバー機と外部SANストレージをマルチパス(複数本のSAN接続チャネル)で接続した環境が前提となる。この上で、マルチパスを上手に使って、ストレージアクセスの効率(性能)と可用性を高める。このための機能を提供するソフトである。VMware ESXのカーネル層で動作するドライバーソフトとして動作し、VMware ESXの基本を拡張する。

 複数の接続チャネルを並列で利用するマルチパス機能そのものは、VMware ESXが標準で備えている。ただし、VMware ESXの標準機能では、複数のパスを使い分けるI/O制御ポリシー(アルゴリズム)が、単純に順番通りにパスを割り当てるラウンドロビン方式などに限られてしまうという。個々のI/Oごとに負荷が異なる場合、ラウンドロビンでは効率が悪い。

 一方、同ソフトを導入したVMware ESXでは、同ソフトが用意した全7種類のI/O制御ポリシーのいずれかを選んで利用できる。ラウンドロビンだけでなく、それぞれのパスの利用率を均一化できるようなアリゴリズムを複数用意している。稼働している業務(仮想サーバー群)の特性に合わせて、最も適したアルゴリズムを選ぶことで、ストレージアクセスの効率が高まる。

 例えば、キュー(待ち行列)が最も少ないパスを優先的に割り当てるやり方「MinimumQueue I/Oポリシー」や、ボリューム(仮想サーバー)ごとに、そのボリュームが優先的に利用するパスを指定するやり方「アダプティブI/Oポリシー」などがある。

可用性/管理性も確保

 可用性については、あるパスに障害が発生した際に、そのパスを自動的に切り離す運用や、パスが障害から復旧した際に自動的に再度そのパスを利用する運用が可能である。管理性については、VMware vCenterのプラグインを用意しており、vCenterの画面から同ソフトの設定や、マルチパスの利用状況などについての情報収集ができる。

 なお、同ソフトは元々、UNIX OSであるSolaris向けに提供されてきた。その後、稼働環境を広げつつバージョンアップを重ね、今回初めてVMware ESX向けに動作する版を製品化した。