米Appleは現地時間2012年10月29日、iOS部門の上級副社長Scott Forstall氏が辞任したと発表した。これに伴い同社は事業部門を再編し、Forstall氏のこれまでの担当分野を振り分ける。Forstall氏は当面、Tim Cook最高経営責任者(CEO)のアドバイザーとしてAppleに残り、2013年に同社を去る予定。

 Forstall氏は、もともと故Steve Jobs氏が設立したNeXTに籍を置いていたが、1997年にAppleがNeXTを買収した際にAppleに移籍した。初期からのMac OS Xの開発者としてOS各版のリリースに携わり、最近はiOS部門の責任者としてユーザーインタフェースや音声アシスタントサービス「Siri」、地図アプリケーション「Maps」などを担当していた。Forstall氏の辞任の理由についてAppleは明らかにしていないが、米Wall Street Journalは事情に詳しい関係者の話として、地図アプリケーションの失敗や、ほかの幹部との不和が原因と伝えている。

 Appleはこれに伴ってForstall氏の担当分野をほかの幹部の部署に振り分ける。工業デザイン部門上級副社長のJonathan Ive氏は、ヒューマンインタフェース(HI)を統括し、オンラインサービス部門上級副社長のEddy Cue氏が「Siri」と「Maps」を手がける。またソフトウエアエンジニアリング部門のCraig FederighiがMac OS Xに加え、iOSも担当する。さらに新たに無線通信技術や半導体設計を行うテクノロジー部門を設置し、Bob Mansfield上級副社長が責任者を務める。

 Appleは併せて、小売部門の上級副社長John Browett氏も辞任すると発表した。同氏は英国の家電チェーンDixons RetailのCEOを経て今年4月にAppleに入社した。同氏の辞任の理由もAppleは明らかにしていないが、複数の海外メディアは、もともと同氏の起用は間違いで、Appleの販売戦略に合っていなかったと伝えている。

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