NTTドコモは2012年10月25日、2012年度第2四半期の連結決算を発表した。2012年度上期(4月~9月)の合計で、売上高は前年同期比4.5%増の2兆2073億2000万円、営業利益は同7.4%減の4711億900万円の増収減益だった。上期で644万台の販売となったスマートフォンが好調で、売上高を押し上げた。その一方で、端末機器販売の原価が増加し、ドコモクラウドの強化などの先行投資が膨らんだ影響から減益となった。

写真1●NTTドコモの加藤薫社長
写真1●NTTドコモの加藤薫社長
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 今後も競争環境の激化が予想されることから同社の加藤薫社長(写真1)は、下期に800億円を超える追加の営業費用を投入すると説明。それに伴って、期初に打ち出した通年(2012年4月~2013年3月期)の売上高4兆4500億円、営業利益9000億円という2012年度の業績予想(関連記事)を修正した。売上高予想はスマートフォンの今年度販売目標を1300万台から1400万台に上方修正するのに合わせて、700億円増の4兆5200億円とする。逆に営業利益予想は800億円減の8200億円と下方修正した。

新たな成長指標として「スマートARPU」を定義

 9月にKDDIとソフトバンクモバイルが人気端末である「iPhone 5」を発売し、番号ポータビリティー(MNP)による転入超や純増数を増やす一方(関連記事1関連記事2)、iPhoneを扱わないドコモは苦戦を続けている。「MNPの転出超は8月にマイナス4万件ほどに戻したが、(iPhone 5の影響で)9月にまた10万近くまで悪化してしまった」(同社の加藤社長)。

 そんな加藤社長は、今回の決算の席上で改めてドコモの競争戦略と今後の成長戦略について説明した。

写真2●ドコモの成長戦略の概要
写真2●ドコモの成長戦略の概要
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 ドコモの成長戦略は、2011年秋に発表した中期計画「中期ビジョン2015」(関連記事)で示した通り、2015年度のパケット収入を2011年度1.8兆円から1.5倍となる2.7兆円に拡大し、新領域事業と呼ぶ「メディア・コンテンツ」「コマース」「金融・決済」「メディカル・ヘルスケア」「環境・エコロジー」「M2M(マシン・ツー・マシン)」「アグリゲーション・プラットフォーム」「安心・安全」の主に8分野の売上高を、2011年度の約4000億円から2015年度には約1兆円(関連記事)に増やすという方向である(写真2)。