欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は現地時間2012年10月24日、米Microsoftが同委員会との合意に違反したとする予備的見解を明らかにした。MicrosoftはECとの合意に基づき、ユーザーにブラウザー選択画面を提供することが義務づけられている。

 ECは、MicrosoftのパソコンOS「Windows」とWebブラウザー「Internet Explorer」(IE)のバンドル販売が欧州競争法違反にあたるとして2009年1月に異議を申し立てたが、同年12月にMicrosoftが提案した改善策を法的拘束力のある公約として承認し、和解した。同改善策には、欧州経済領域においてWindowsユーザーが使いたいWebブラウザーを手軽に選択できる「Choice Screen」機能を5年間提供することなどが含まれている(関連記事:MicrosoftとEC、WindowsとIE抱き合わせ販売の問題で決着)。

 しかし2012年7月、ECはMicrosoftが改善策を履行していない疑いがあるとして調査を開始(関連記事:欧州委がMicrosoftの調査を開始、IE抱き合わせ販売の改善策不履行の疑い)。今回、Microsoftが2011年2月にリリースした「Windows 7 Service Pack(SP)1」において、Choice Screenの提供を怠ったと暫定的に判断する異議告知書(Statement of Objections)をMicrosoftに送った。

 ECによると、2011年2月から7月まで、数百万人に上るEUのWindowsユーザーがブラウザー選択画面を提示されなかった可能性があるという。Microsoftもこの期間にChoice Screenが表示されなかったことを認めている。

 なお、異議告知書は最終判断を意味するものではなく、Microsoftは回答書を提出するほか、審問の開催を要求できる。ECはMicrosoftの回答を待って最終的な判断を下す。違反が確認された場合、Microsoftには年間売上高の最大10%に相当する罰金が科されることになる。

 MicrosoftはECからの告知を受け、同日声明を発表した。同社はChoice Screenの非表示を「技術的な問題」とし、「当社の責任として、再発防止に向けて内部手順の強化に取り組んできた」と説明。10月26日に正式リリースする「Windows 8」では、改良したChoice Screenを実装するとしている。

[発表資料(ECのプレスリリース)]
[発表資料(Microsoftのプレスリリース)]