住友商事とKDDIは2012年10月24日、同日開催の取締役会でケーブルテレビ最大手のジュピターテレコム(J:COM)の共同運営に関して株主間契約を締結したと発表した。

社長は2013年まで住商、2014~17年はKDDI

図1●住友商事とKDDIの合意内容
図1●住友商事とKDDIの合意内容
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 KDDIおよび新たに設立するSPC(特定目的会社)を公開買付者とする普通株式および新株予約権の公開買付を実施し、最終的にJ:COM株を住友商事とKDDIが50%ずつ保有する体制にする。公開買付の完了は2013年3月中を予定する。

 その後、2013年夏ごろにJ:COMを非上場化し、2013年秋ごろにKDDI傘下で業界第2位のジャパンケーブルネット(JCN)をJ:COMと統合する。新生J:COMは、KDDIの連結対象会社となる(図1)。新生J:COMの有料ケーブルテレビ市場のシェアは約53%になる。

写真●会見終了後に写真撮影に応じる住友商事の大澤氏(右)とKDDIの高橋氏(左)
写真●会見終了後に写真撮影に応じる住友商事の大澤氏(右)とKDDIの高橋氏(左)
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 住友商事とKDDIは2012年10月24日に会見を開き、J:COMの共同運営化などの狙いについて説明した。住友商事側は代表取締役専務執行役員の大澤善雄氏が、KDDI側は代表取締役執行役員専務の高橋誠氏がそれぞれ登壇した(写真)。

 新生J:COMでは会長と社長を共同CEOとし、住友商事とKDDIが1人ずつ指名する。社長は2013年末までは住友商事が、2014年1月からはKDDIが決める。2017年1月以降の会長と社長についてはその都度協議する。「この決まりは3年周期で繰り返す」(大澤氏)という。取締役・監査役は2社が同数指名する。

「次世代STBで新生J:COMと連携したい」とKDDI

図2●住友商事とKDDIの合意内容
図2●KDDIにおける今回の経営統合の目的
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 J:COMの将来に向けた住友商事とKDDIの取り組みについて、それぞれが述べた。KDDIの高橋氏は、今回の住友商事とのJ:COMの共同運営、JCNとの統合について、KDDIにとって(1)J:COMをKDDIの連結対象として組み入れられること、(2)J:COMとJCNの統合による相乗効果を見込めること、(3)KDDIが取り組んでいるマルチユース、マルチデバイス、マルチネットワークの「3M戦略」をより拡大できること、(4)住友商事とKDDIとの連携を強化できる――の4点がメリットと語った(図2)。