関西テレビ放送は2012年10月23日、フジテレビジョンやスカパーJSAT、アストロデザインの各社と共同で衛星中継(SNG)波を利用したIP伝送実験を7月に行い、双方向によるネット接続やファイル転送、片方向通信による多素材伝送の実験にFNS系列で初めて成功したと発表した。

 今回の実験ではSNG中継車にインターネットを利用できる環境を構築し、上り下りのSNG波2回線を使って素材のファイルを転送した。フジテレビが開発した遠隔取材支援システムを利用して、取材班の位置や放送中の低遅延映像をスマートフォンに表示できることも確認した。「放送した映像を中継現場で確認できることで、スムーズな中継が可能となる」という。

 上りのSNG波1回線を使った片方向のIP伝送テストでは、一つの回線で三つの素材を伝送できることと、映像伝送を行いながら同時にファイル転送ができることを確認した。「大規模災害など膨大な素材が集中する際に衛星回線の有効な活用ができるとともに、ファイル転送では素材を短時間で伝送することが可能で、より効率的な取材と伝送ができるようになる」としている。

 関西テレビ放送は2012年10月30日にも、SNG波を利用したIP伝送実験を予定する。「中継車のラックに設備をはめ込むなど日常業務と同様の状況で実験を行う」という。