図1 連絡会の組織案
図1 連絡会の組織案
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図2 参加者一覧
図2 参加者一覧
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図3 行動計画の目標
図3 行動計画の目標
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 総務省信越総合通信局は2012年10月23日、同月22日に「防災・減災への放送利用行動計画連絡会」を発足させたと発表した。信越総合通信局は、市町村による臨時災害放送局の開局支援の取り組みを、放送事業者らとともに進めている。連絡会は、県内で起こり得る大きな災害を想定して、臨時災害放送局置局のための自助・共助を話し合う組織という位置づけである(図1)。長野県内のケーブルテレビ事業者、コミュニティFM放送事業者、県域ラジオ事業者、市町村、長野県および信越総合通信局が参加する(図2)。

 臨時災害放送局は、災害が発生した場合にその被害を軽減するために、開設する臨時かつ一時の目的のためのFMラジオ放送局(出力は最大100W)で、免許主体は地方自治体である。その形態は「被災自治体を免許人として新たに臨時災害放送局を立ち上げる」と「既存のコミュニティFM局(出力は最大20W)が臨時に移行する」の大きく二つある。臨時に移行する場合も免許上は、コミュニティFM局がいったん免許を休止し、代わって自治体が臨時災害放送局の免許を受ける。そして多くの場合は、その運用を自治体がコミュニティ放送局に委託する。

 長野県はケーブルテレビが普及している地域であり、コミュニティFM局の存在しない自治体においても、下で発達する各地のケーブルテレビ事業者が臨時災害放送に取り組むことが、今回の取り組みの特徴の一つとなっている。連絡会にも県下のケーブルテレビが多数参加している。さらに、コミュニティFM局やケーブルテレビがない市町村も応援していく考えである。小さな町村には、独力で臨時災害放送局を開局し放送を続けていく体力がないところもある。事業者がそうした市町村を支援する仕組みを広域に形成することで、全県で臨時災害放送局を開局できる体制を整備することを目標におくことも特徴である。

 総務省信越総合通信局は災害に強靱な地域社会を作るために地域の放送メディアが協力して行動する「防災・減災のための放送利用行動計画(第1次)」案作りを進めている。「臨時災害放送局の開局支援体制を構築して年内に始動する」「市町村、放送事業者、総合通信局が連携して取り組む(置局の準備や演習(訓練)などを含む))」「平時からのメディアを最大に活用して非常時に対処する」「公共情報コモンズを利用する」「コミュニティFMやケーブルテレビが所在しない市町村も応援する」「臨時災害放送局の送信設備を共同保有する」などを目標に設定している(図3)。

 なお連絡会発足時に未加入の市町村や事業者にも、今後、広く参加を呼びかけていく予定である。
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