写真●日立グループが店内行動分析に使った名札型センサー
写真●日立グループが店内行動分析に使った名札型センサー
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 日立製作所中央研究所と日立ハイテクノロジーズは2012年10月19日、小売店舗内の従業員や来店客に取り付けた名札型のセンサー(写真)を使って集めた行動データと、POS(販売時点情報管理)データなどの業績データを併せて分析することで、業績向上策を発見できるビッグデータ解析技術を開発したと発表した。小売店舗で実証実験したところ、顧客1人当たりの購買金額(客単価)が15%向上したという。

 実証実験は、経営コンサルティング会社であるシグマクシスの協力を得て、広さ約900坪のホームセンター店舗で約1カ月半実施した。店内の従業員と、サンプル調査対象の来店客304人に名札型センサーを着用してもらい、日立中央研究所が開発した「ビジネス顕微鏡」(関連記事)と呼ぶ仕組みを使って、10日間分の行動データを取得した。

 名札型センサーでは人の位置や動作、誰と向き合っているかなどのデータを時系列で取得できる。従業員については、いつどの売り場で接客していたのかが分かる。来店客については、いつどの売り場で立ち止まって商品を手に取ったか、従業員から接客を受けていたかどうかなどを把握できる。

 日立はこの行動データと、実際の販売状況を示すPOSデータを分析エンジンに入力し、解析を進めた。分析エンジンでは、行動や業績に関わる膨大なビッグデータの中から、売上高など業績に関わる重要な要因を自動的に発見することができる。

 解析の結果、従業員の配置が客単価に強く影響していることが分かった。さらに、従業員がその場にいることで客単価が増加する高感度スポットと、従業員がいても客単価にはほぼ影響しない低感度スポットがデータから明らかになった。

 これを踏まえて、高感度スポットに重点的に従業員を配置したところ、高感度スポットにおける来店客の滞在時間が1.7倍に増え、客単価は15%向上した。日立は今後、この分析エンジンを活用して、小売業への本格的なサービス提供を目指す。

[日立の発表資料]