写真1●左からスマートフォンの新製品を手にする俳優の伊勢谷友介さん、剛力彩芽さん、KDDIの田中孝司代表取締役社長、井川遙さん
写真1●KDDIは冬モデルの新商品10機種を発表
左からスマートフォンの新製品を手にする俳優の伊勢谷友介さん、剛力彩芽さん、KDDIの田中孝司代表取締役社長、井川遙さん
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 KDDI(au)は2012年10月17日、携帯電話の冬モデルの新商品10機種を発表した(写真1)。内訳はスマートフォン9機種とタブレット1機種で、全機種がLTEの高速通信とテザリングに対応する。価格はタブレットを除き、3万円台前半~半ばの見通し。8機種は11月2日に一斉に発売し、残り2機種も12月中に投入する。

 新商品発表会にもかかわらず、田中孝司社長が最も多くの時間を割いて説明したのが、ネットワーク関連の取り組み。「単にLTEを始めるだけではない。本気のネットワークであることをアピールしていきたい」として、(1)エリアの広がり、(2)電波のつながり、(3)auのこだわり――の3つの取り組みを紹介した。

 (1)エリアの広がりとは、LTE展開の垂直立ち上げのこと。LTEの提供開始はNTTドコモに遅れたが、早い段階から基地局を設置して準備してきた。このため、実人口カバー率は10月末時点で84%に達しており、今年度末までに96%に拡大する見通しだ。「エリアは一気に他社を抜き、一部ではなく、全国で75Mビット/秒を展開したい」(田中社長)。

 (2)電波のつながりは、電波が回り込んで遠くまで届きやすい、800MHz帯でLTEを展開する点を指す。今回発表した新商品は、全機種が800MHz帯(当初は10MHz幅×2で展開)と1.5GHz帯(10MHz幅×2、11月から運用を開始)に対応し、2013年以降は112.5Mビット/秒(15MHz幅×2)に高速化する予定だ。2GHz帯のLTEは少なくとも春モデルが登場するまで、iPhone 5専用となる。

写真2●LTEエリアと3Gエリアをシームレスにつなげる新技術「Optimized Handover」
写真2●LTEエリアと3Gエリアをシームレスにつなげる新技術「Optimized Handover」
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 (3)auのこだわりとしては、まずきめ細やかなエリア構築を挙げた。一般に基地局の境目や高層ビルの陰に電波の弱いエリアができるが、ピコセル基地局を積極的に活用して解消している。「我々は基地局の数より品質を重視したい」(田中社長)とした。さらに11月から、LTEエリアと3Gエリアをシームレスにつなげる新技術「Optimized Handover」も導入した(写真2)。通常、LTEエリアから3Gエリアに移動すると、データ通信が5秒程度中断するが、同技術の活用で瞬時に切り替わるようになるという。

 このほか、3GとLTEの切り替え時間を高速化するとともに電池消費を抑制できる「eCSFB(enhanced Circuit Switched Fallback)」、全機種におけるテザリング対応、家庭向け無線LANルーター「HOME SPOT CUBE」などの取り組みも紹介した。HOME SPOT CUBEはIEEE 802.11nのHT40モードに対応しており、出先では75Mビット/秒、家庭では150Mビット/秒で快適に通信できるとした。

春モデルでデザイン端末「INFOBAR」の新機種も投入

 冬モデルの新商品10機種については、「人気シリーズ」「先進機能」「auオリジナル」に分けて説明した。「人気シリーズ」は、薄さ8.7mmの「Xperia VL」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)、全世界で7000万台以上(シリーズ合計)を売り上げた「GALAXY SIII Progre」(韓国サムスン電子製)、明るく鮮明な表示と省電力を両立した「AQUOS PHONE SERIE」(シャープ製)、新世代ディスプレイ「IGZO」を搭載した「AQUOS PAD」(同)、フルスペックをコンパクトに凝縮した「ARROWS ef」(富士通モバイルコミュニケーションズ製)、クアッドコアCPUを搭載した「Optimus G」(韓国LG電子製)の6機種。