写真1●アドビ システムズの木ノ本尚道氏(左)と渡邉崇氏(右)による講演
写真1●アドビ システムズの木ノ本尚道氏(左)と渡邉崇氏(右)による講演
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写真2●アドビ システムズのブースの様子
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 ITpro EXPO 2012展示会の最終日のセッションに、アドビ システムズマーケティング本部シニアディレクターの木ノ本尚道氏と同社ソリューションコンサルティング統括部 統括部長の渡邉崇氏が登壇。2人は掛け合いながら、ユーザーの属性に合わせて情報を提供する「“個客”マーケティング」の可能性を語った(写真1

 その例として示したのが、アウトドア商品のオンライン販売サイト。ユーザーの属性を意識しなければ、どのユーザーにも同じ商品情報が提示されるが、初めて訪れる顧客だとしても「IPアドレスを取得すれば、おおよその地域を特定できる」(渡邉氏)。例えば、東京からのアクセスであれば秋の商品だが、北海道からのアクセスなら冬季の商品を紹介するといった工夫ができる。

 同じサイトでいくつかのページを見ることにより「活動的な男性」「比較的穏やかなスポーツ好きの女性」といった属性が推測されることから、お薦め商品の精度が高まっていく。

 さらに、FacebookやTwitterなどのアカウントを通じてログインすれば、過去のソーシャルメディア上での活動履歴に基づいた商品も推奨することができる。過去にマウンテンバイク関連のFacebookページに“いいね!”をしたことがあれば、マウンテンバイク関連の商品が表示されるのだ。

 アドビでは、こうした日常のWeb体験を通じてネット上に形成される自分を「デジタルセルフ」と呼んでいる。このデジタルセルフを、その属性や特徴に応じて「もてなす」ことが、マーケティング担当者がこれまで悩んできた課題「いかに消費者の心をつかみ、売り上げにつなげるか?」の有効なアプローチになるとみている。

 今回の講演でユニークだったのは、プレゼンテーション中に一切商品が登場しないこと。これは、マーケティング担当者の視点に立って、共通に抱える課題(売り上げにつなげる)を明確にし、その有効な解決策があることを示すためだという。

 講演で一切商品に触れない代わりに、具体的なソリューションは展示会場に用意した(写真2)。Creative CloudやCreative Suiteなどデジタルメディアソリューションと並ぶ柱の一つとする、デジタルマーケティングソリューションの製品群である。

 その製品群の一つが、「Webエクスペリエンス」を管理するソリューション「Adobe CQ」。

 Adobe CQは主にマーケティング担当者を対象とした製品であり、Webベースのアプリケーションを操作することにより、パーソナライズされた画面を構築・管理できるようになる。これにより、年齢や居住地など、ユーザーの属性に応じたWebの画面表示が可能になるもので、今回の講演のデモにはこれを活用した。同製品は、ソーシャルの要素を組み込む「Social Communities」、既存アセットの再利用や管理のための「Digital Asset Management」、キャンペーン支援のための「Marketing Campaign Management」などの機能を備える。

 CQは、スイスのデイ・ソフトウェアを買収することにより同社のブランドに組み入れた製品である。Adobe CQは、ほかのAdobe Digital Marketing Suite製品とも連携が可能だ。

 Adobe Digital Marketing Suiteには、リアルタイムのWeb解析ツール「Adobe Site Catalyst」、テストとターゲティング(自動選択)を可能にする「Adobe Test&Target」、などを統合したものであり、「相互のデータを簡単に受け渡せるなどの連携がポイント」(同社)という。

 一連の製品の提供により、ユーザー企業のマーケティング担当者にWebを使いこなしてもらい、短期間での判断に基づく効果的なマーケティングを根付かせたいとしている。

■変更履歴
当初、第4段落で「マウンテンバイクに乗った写真があれば、マウンテンバイク関連の商品が表示されるのだ」としていましたが、Adobe CQの機能では、個人のプリファランス設定を参照しているため、「過去にマウンテンバイク関連のFacebookページに“いいね!”をしたことがあれば、マウンテンバイク関連の商品が表示されるのだ」に変更いたしました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2012/10/15 13:55]