写真1●CMキャラクターの虎からUltrabookを受け取る吉田社長(撮影:新関雅士)
写真1●CMキャラクターの虎からUltrabookを受け取る吉田社長(撮影:新関雅士)
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写真2●インテル 代表取締役社長の吉田和正氏(撮影:新関雅士)
写真2●インテル 代表取締役社長の吉田和正氏(撮影:新関雅士)
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写真3●日経BP社の根本(左)と、インテルの吉田氏(撮影:新関雅士)
写真3●日経BP社の根本(左)と、インテルの吉田氏(撮影:新関雅士)
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 早朝、ジョギング姿の男性がさっそうと町を駆け抜ける。ジョギング後、すぐにメールをチェックしながら、「ジョギング中にもたくさんのメールが届いていますからね」。薄型・軽量で手軽にどこにでも持ち運べるUltrabookを手にしたその男性は、移動中の車内や機内はもとより、ベッドにもUltrabookを持ち込んで作業することがあるという。限られた時間を有効に使えるため、「日々テクノロジーに感謝しています」と男性は笑顔を見せる。

 ITpro EXPO 2012の特別講演「先進ICTによる働き方の変革 ~日本の競争力向上に向けた提案~」の冒頭に映し出されたこのビデオの男性は、同講演のスピーカー、インテル 代表取締役社長の吉田和正氏である。壇上で吉田氏は、UltrabookのテレビCMに登場する虎からUltrabookを受け取り、片手でクルクルと回しながら同デバイスが軽量であることをアピールした(写真1)。

 ただし、吉田氏がこの講演で伝えたいのは、Ultrabookが軽量であることではない。この最新テクノロジーを使って「新しい働き方を取り入れ、ライフスタイルを変えてみよう」ということだ。「働き方や時間の過ごし方を変えることで、創造性が高まり、国際競争力や将来の成長につながる」と吉田氏は主張する(写真2)。

 では、インテルの社長として多忙な日々を送る吉田氏は、どのような働き方をしているのだろうか。

 「仕事での連絡手段はほとんどがメールで、電話は使いません。終日会議しているので、電話に出られないのです。電話を使う場合は、IP電話でのグループ会議が中心です。IP電話の技術も日々進化していますから、話している人の声に反応して話者の顔が画面に映し出されるような機能もあり、違和感なく会議が進められます。一方、移動で飛行機の中にいる時などは、雑誌を読んだりしながら新しい発見をする時間に費やしています。自分の目の前にある仕事だけをやっていても、クリエイティビティは生まれませんからね」(吉田氏)

 吉田氏は、日本の通信インフラやその品質が優れていること、また電子マネーの普及とその利用シーンが拡大していることなどから、「日本は世界一豊かな国となった」と話す。こうした豊かな環境を実現する中で、テクノロジーの果たす役割は大きいとしている。

 では、半導体メーカーとして技術革新の重要な一部を担うインテルは、どのような技術で豊かな環境作りに貢献しているのだろうか。ここで吉田氏は、9月に米サンフランシスコで開催されたIntel Developer Forum(IDF)を取材した日経BP社 ITpro編集 副編集長 根本浩之にバトンタッチし、根本がIDFでの発表内容を次のように簡単に紹介した(写真3)。

 IDFで最も注目されたのは、次世代インテルCore iプロセッサの「Haswell」(開発コード名)だ。Haswellでは、これまでと同じ消費電力で2倍の性能を発揮する。性能を現行バージョンと同等に抑えることで消費電力を約半分にするモードもある。また、待機中の消費電力は最大20分の1まで削減され、必要な時に高速復帰できる「S0ix」という状態が用意されている。Haswellは2013年後半に出荷予定だ。

 次世代Atomプロセッサの「Clover Trail」(開発コード名)もIDFにて発表されている。同プロセッサは、9月27日に米インテルが「Atom Z2760」として正式に発表しており、Windows 8の発表以降に同プロセッサ搭載製品が登場する見込みだ。

 このほか、サーバー向けプロセッサの「Xeon E7」シリーズおよび「E5」シリーズや、初のサーバー向けAtomでマイクロサーバー市場をねらう「Atom S」もIDFにて発表されている。

 最後に再び壇上に戻った吉田氏は、「こうした新技術で、デバイスの消費電力はますます抑えられることになる。また、2年後はデバイスにセンサーやタッチ機能が組み込まれるようになる。今後、自分に合ったICTを活用し、新しい働き方を取り入れることが日本の成長につながるのではないか。インテルの提供する技術でその手伝いができればよいと考えている」と述べて、自ら登場するビデオを使ったユニークな講演を終えた。