写真1●ネットワークをディープにプログラムできる「FLARE」スイッチ
写真1●ネットワークをディープにプログラムできる「FLARE」スイッチ
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写真2●FLAREのアーキテクチャ。パケットスライサーという機能によって物理ポートに入ってきたパケットを各スライスに振り分ける。各スライス上ではそれぞれ独立したプログラム環境によってネットワークを制御できる
写真2●FLAREのアーキテクチャ。パケットスライサーという機能によって物理ポートに入ってきたパケットを各スライスに振り分ける。各スライス上ではそれぞれ独立したプログラム環境によってネットワークを制御できる
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写真3●1台のFLAREスイッチ上に2つの独立したスライスを構成し、各スライス上で異なる仮想スイッチをプログラム
写真3●1台のFLAREスイッチ上に2つの独立したスライスを構成し、各スライス上で異なる仮想スイッチをプログラム
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 「ITpro EXPO 2012」内の特設エリア「OpenFlow/SDNランド」では、OpenFlowの基本的な動作からネットワーク仮想化やSDNの具体的なソリューションまで幅広く体感できる。そんな中、OpenFlow/SDNの先のネットワークの世界を感じさせてくれるのが、東京大学の中尾彰宏准教授の研究室が展示するデモだ。

 こちらのブースでは、ネットワークを「ディープにプログラム可能」な技術として、独自開発した「FLARE」というスイッチを使ったデモを紹介している(写真1)。FLAREスイッチは見た目は10Gビット/秒のポートを4個備えた普通の1Uラックサイズのスイッチに見えるが、中身は非常にユニーク。「パケットスライサー」という機能によって、物理ポートに入ってきたパケットを、任意のルールによって振り分けられる。

 これによって、スイッチ内に仮想的なポートを備えたスライスを幾重に構成できる(写真2)。OpenFlowでコントロールできるのは経路制御だけだが、このFLAREの機能を使えば、経路制御だけでなくデータプレーンに対してもプログラムが可能になる。これが「ディープにプログラム可能」としている所以だ。

 実際のデモでは、1台のFLAREスイッチ上に2つの独立したスライスを構成し、各スライス上で異なる仮想スイッチをプログラムし、制御する様子を披露している(写真3)。具体的にはスライス1では、拡張MACアドレスによるスイッチングでVMをライブマイグレーションし(写真4)、スライス2ではOpenFlowを用いてビデオストリーミングの送信先を切り替えるといった具合だ。

 中尾准教授は、FLAREの仕組みを使えば「OpenFlowでさえも仮想スイッチとしてソフトウエアで構成でき、改変可能」と話す。OpenFlowに縛られずネットワークの可能性を広げられる、面白い取り組みだ。